NECは2017年8月7日、2020年の国内送配電分離を見据え、サクラメント電力公社(SMUD)、SpaceTime Insightと協業し、国内電力事業者向けスマートエネルギーソリューションの提供を開始したと発表した。送配電事業者向けに「設備管理高度化ソリューション」を提供し、今年度中に1件の受注獲得を目指す。

 都内で開催された記者説明会では冒頭にNECの執行役員常務 高田和宏氏が登壇。今後、人口が増大し、エネルギーや食糧の需要は増える一方、「エネルギー供給はそこまで増やせない状況だ」と説明した。さらに「限りある資源を有効活用するにはロスを減らすICTが重要になる」と続けた。

当日の登壇者。左から日本電気 スマートエネルギー事業部 事業部長の井島功晴氏、SMUD CEO&GMのArlen Orchard氏、NEC 執行役員常務の高田和宏 氏、SpaceTime Insight CEOのRob Schilling氏
当日の登壇者。左から日本電気 スマートエネルギー事業部 事業部長の井島功晴氏、SMUD CEO&GMのArlen Orchard氏、NEC 執行役員常務の高田和宏 氏、SpaceTime Insight CEOのRob Schilling氏
(撮影:林 徹、以下同じ)
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 NECの具体的な取り組みについては、スマートエネルギー事業部 事業部長 井島功晴氏が説明した。井島氏は、まず協業先であるSMUDについて、「米国電力業界で新しい試みを成功させているイノベーションリーダーだ」と紹介。続けて、「電力公社として高い説明責任を果たし透明性が高い。しかも、カリフォルニア州で最も安い電力を供給し、顧客満足度が16年連続で1位を獲得している」と、SMUDが適正料金を維持した健全な経営体質であることをアピールした。

 井島氏はさらに、送配電分離によって「発電」「配電」「小売」の3事業者と需要家が市場でのプレーヤーとなる中、「アセットの大きな送配電事業者向けに設備管理高度化ソリューションを提供する」と当面の戦略を説明。SpaceTimeの分析・可視化アプリケーションにSMUDの経営高度化のノウハウを加え、これらにNECが従来から持つ異種混合学習、インバリアント分析、画像解析といった技術を含めたソリューションを送配電事業者に提供していくという。また、将来は既存の電力会社だけでなく、新電力への提供も視野に入れているようだ。

高度化効率化がもっとも必要との判断で送配電事業者を1stターゲットにした
高度化効率化がもっとも必要との判断で送配電事業者を1stターゲットにした
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3社の強みを組み合わせた「設備管理高度化ソリューション」を提供する
3社の強みを組み合わせた「設備管理高度化ソリューション」を提供する
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 NECは2014年からSpaceTime Insightと協業しているが、、SMUDを含めた3社が一緒にこのような取り組みを行うのは国内外とも初めてとなる。

 ソリューション提供ではまず、NECがヒアリングを実施。これによってSMUDが仮設立案を提案する。このプロセスを3回ほど回したうえで、ワークショップを行う。その後、システムを実装するという。