オンライン融資を手掛けるFinTechスタートアップの米カベージは現地時間の2017年8月3日、ソフトバンクグループの子会社から2億5000万ドル(約275億円)の投資を受けることで合意したと発表した。カベージによると、オンライン融資領域の企業としては最大の調達規模。資金はオンライン融資プラットフォームの事業拡大に充てる。

 カベージは米国を代表するFinTechスタートアップの一つだ。中小企業や個人向けに、オンラインで完結する融資サービスを手掛ける。融資を申し込んだ企業が利用している「PayPal」や「Amazon.com」、ニュージーランドのクラウド会計ソフト「Xero」などの情報を集約、独自の審査アルゴリズムを使って自動で融資条件を決める。審査に要する時間は数分。これまでに10万以上の中小企業に対して35億ドルの融資実績があるという。

 カベージは自動融資プラットフォームをSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)型で金融機関にも提供している。オランダの金融大手INGやスペインのサンタンデールが採用しており、今回の調達資金を投じて世界中の銀行向けに拡販する計画だ。

 ソフトバンクは2016年11月、みずほ銀行と組んで個人向け融資を手掛けるJ.Scoreを共同で設立。2017年9月にも事業を開始する。「現時点では投資の色合いが濃い」(ソフトバンク広報)が、将来的にはカベージのノウハウや仕組みをJ.Scoreの融資事業などに生かす可能性もある。

 ソフトバンクグループは2015年10月にも、学生向けローンを手掛ける米SoFi(ソーファイ)に対して既存株主と総額10億ドルを出資している。同社の孫正義社長は、J.Scoreの事業に「SoFiのノウハウが活用できる」と語っている。