PaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)を手掛けるパイプドビッツは2017年8月2日、事業戦略説明会でPaaS需要の動向を話した。プログラミングをせずに業務システムを構築できるようなPaaSを事業部門が直接使う事例が増えているという。

 矢野経済研究所が2016年に実施したIaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)とPaaSの国内市場調査によると、IaaSとPaaSを合わせた市場全体は前年比39.1%増、PaaS単体は同48.1%増だった。市場規模もIaaSとPaaSの合計が1260億円、そのうちPaaSが648億円と過半を占める。

 パイプドビッツの林哲也社長CEO(最高経営責任者)はこの調査結果を引用し、「需要の高まりは事業部門が早くシステムを構築したり改良したりしたいから」と説明。事業部門が情報システム部門やITサービス企業を介さず、直接システムを開発する時にPaaSを使うという。

パイプドビッツの林哲也社長CEO(最高経営責任者)
パイプドビッツの林哲也社長CEO(最高経営責任者)
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 林社長CEOは「事業部門への直接営業で順調に契約が増えている」とPaaS事業の好調ぶりを話した。同社はメール配信機能などを持ったシステムが開発できるPaaS「SPIRAL」を運営している。

 「PaaSには業務部門が使う業務系PaaSと開発者が使う開発系PaaSがある」と林社長CEOは話す。業務系PaaSは半構築済みのアプリケーションを組み合わせてシステムを作れるクラウドサービスのこと。開発系PaaSはミドルウエアやOSが設定済みのサービスのことだ。SPIRALは業務系PaaSに当たる。

 林社長兼CEOは業務系PaaSのメリットを「システム開発ノウハウを持っていない営業やマーケティングといった事業部門でも使いやすい」ことと話す。SPIRALのほか、米セールスフォース・ドットコムの「Foce.com」やサイボウズの「kintone」などが業務系PaaSだという。

 パイプドビッツは今後の計画として「開発系PaaSとしての機能も拡張していく」と話した。開発系PaaSはシステム開発のノウハウが必要だが、業務系PaaSより自由にシステムを構築しやすい。パイプドビッツは他社のPaaSやSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)などのAPIとの連携するSPIRALの機能を強化し、より柔軟にシステム開発ができるようにするという。