総務省消防庁は、加古川市と協力して「戸別受信機等での災害情報伝達手段に係る実証事業」を2017年9月から11月に実施する。この実証事業では、情報の伝達手段としてV-Lowマルチメディア放送「i-dio」を利用する。近畿ブロックでV-Lowマルチメディア放送を提供する大阪マルチメディア放送が、この実証事業の実施に協力する。V-Lowマルチメディア放送を推進するエフエム東京およびジャパンマルチメディア放送(BICから社名変更)が2017年8月1日に発表した。

 この実証事業では、「7月から地域の町内会長や消防団などに約600台のV-ALERTに対応する戸別受信機を配布し有効性を検証」することに加えて、「V-ALERTに対応する屋外拡声器や、施設の自動開錠と連動して誘導灯が点灯する仕組みを開発」「マルチメディアでの情報伝達を活かした高齢者や障がい者などに対応する端末を開発」「インターネットを利用しV-ALERTを補完するアプリを開発」し、その有効性を検証する。

図●情報発信のシステムイメージ
図●情報発信のシステムイメージ
(発表資料から)
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 例えば、データ放送による遠隔操作で津波避難所に指定されている市立小学校の校門と体育館扉の鍵を開錠する。また、放送波の制御データにより、この鍵開錠と同時に、避難誘導のための非常灯と避難所内の点灯スイッチを入れる。

 大阪マルチメディア放送は、今回の実証事業に協力することにより、従来の放送による一方通行な災害情報発信に加えて、各種サイネージや屋外拡声器の動作確認(アンサーバック)をインターネットを利用して行うなど、V-Low放送とインターネットの最適な組み合わせの実現を図る。

 この事業の開始に先立ち、兵庫県加古川市近郊を放送エリアとするV-Lowマルチメディア放送の加古川中継局の運用が既に始まっている。実証期間の終了後、加古川市は実証結果をもとに順次V-Low放送波を利用した災害情報伝達手システムを構築していく予定。

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