高市早苗総務相は2017年8月1日の閣議後会見で、総務省に「情報セキュリティ政策局」の新設を目指す考えを表明した。総務省が管轄する、マイナンバーを含む政府の共通IT基盤、自治体の情報システム、IoT(インターネット・オブ・シングズ)などの分野で情報セキュリティ戦略を立案・実行するほか、人材育成に取り組む狙いという。

 8月に各省と財務省の間で行われる来年度の概算要求と併せて新しい組織体制も要求する。総務省は情報セキュリティ政策局に先行するかたちで、既にセキュリティ政策担当部署を設けている。2017年7月に情報流通行政局の下に新設した「サイバーセキュリティ課」で、7月に就任した谷脇康彦政策統括官が情報セキュリティ担当に就いた。当面は谷脇統括官や同課が総務省で情報セキュリティ政策を推進するという。

 政府全体で設置できる省庁の局の数は国家行政組織法で決められており、残る枠は2つに限られる。高市総務相は「総務省で1つ新たな局を作るのは大変困難な作業。ただし、定数全体を増やさないことを1つの条件にして、しっかり(検討や折衝を)進めていきたい」と語った。

 政府には内閣官房の「内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)」もあり、既に情報セキュリティの政府戦略や官民連携などを担う体制はある。高市総務相は、総務省が専門の局を持つことで「NISCの機能も補強され、政府全体のセキュリティ対処能力の強化に貢献できると確信している」と、局を新設する意義を説明した。

 高市総務相は今回の組織要求で、「情報通信国際戦略局」を総務省全体の国際戦略を担うよう役割を広げて「国際戦略局」に変更する方針も明らかにした。2017年4月から高市総務相が自ら内閣官房長官や財務相ら関係者にこれらの組織改編について説明に回ったという。

 実現性の見通しについては「国際戦略局への変更は、局を増やすのでなく行政の効率化につながるので大きな反対はなかった。情報セキュリティ政策局の新設にも強化の必要性については賛成を頂いた。ただ政令改正事項になり全ての役所の理解が必要になる。果たして絶対的に必要なのかという説明は今後も求められるだろう。総務省と財務省などとの折衝を注視したい」と語った。