キヤノンITソリューションズ(キヤノンITS)は2017年8月2日、メインフレームの端末エミュレーター「TCPLink Enterprise Server」の新版を発表した。Windows Server 2016に対応したほか、暗号化通信ライブラリーを一新し、セキュリティの強度をアップした。

 TCPLinkシリーズはキヤノンITSが開発・販売するメインフレーム向けの端末エミュレーターだ。米IBMやNEC、日立製作所、富士通など、メインフレームの開発ベンダーを問わずに利用できる。米IBMの「IBM i」といったオフコンの端末としても利用できる。

 TCPLink Enterprise Serverはサーバーにインストールして利用する。クライアントPCにはプッシュ型でエミュレーターを配信して利用する。「クライアントの操作ログを詳細に取得できるなど、メーカー純正のエミュレーターにはない機能を搭載している」(キヤノンITS プロダクトソリューション事業本部 通信コミュニケーション事業部 企画販推課の石垣武氏)ことが売り文句だ。

図●キヤノンITソリューションズの「TCPLink Enterprise Server」の操作ログ管理機能の画面例
図●キヤノンITソリューションズの「TCPLink Enterprise Server」の操作ログ管理機能の画面例
(画像提供:キヤノンITソリューションズ)
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 新版はSSL通信で接続する場合の強度を強化したいとの顧客からの要望を受けて、暗号化通信ライブラリーをWindowsが提供するライブラリーをAPI経由で利用できるようにした。加えて、IBM5250(IBM i)エミュレーターとの互換性を高めるため、5250向けの転送機能でExcel形式のデータを送受信できるようにしたほか、純正エミュレーターの転送要求ファイルを読み込めるようにした。

 キヤノンITSは、「クライアントPCのOSをWindows10に入れ替える際に、純正品から当社のようなサードパーティの製品に乗り換える企業が多く、TCPLinkの引き合いは増えている」とキヤノンITS石垣氏は説明する。

 TCPLink Enterprise Serverはベースライセンスとユーザーライセンスを組み合わせて購入する。ベースライセンスが通常版の場合60万円から、ユーザーライセンスは1ユーザー当たり3万円から。SSL通信が利用できるセキュリティ版のベースライセンスが66万円から、ユーザーライセンスは1ユーザー当たり3万3000円から。

 キヤノンITSはTCPLink Enterprise Serverをメインフレームの大規模ユーザーである金融業や製造業、流通業などを中心に販売する。2020年までに導入に伴う開発なども含めて10億円の売り上げを目指す。