コンカーは2017年7月28日、改正電子帳簿保存法(電帳法)に基づく領収書の電子化の普及に関する提言を発表した。領収書を本人がスマートフォンなどで電子化する場合、受領後3日以内に実施するなどの現行制度について「領収書の電子化の阻害要因となり得る」として、規制緩和を提言していく姿勢を示した。

 コンカーが同日開催した記者会見で三村真宗社長は、日本CFO協会が会員企業のCFOを対象に実施した調査結果を示した。領収書の電子化に「メリットを感じる」とした企業は91%に上り、実際に領収書の電子化を「導入済み・導入中・導入計画あり」とした企業も46%と半数近くを占めた。

 一方、電帳法の規定については不満も出ている。現行制度では社員による領収書の改ざん防止を目的に、社員本人がスマートフォンのカメラなどを使い領収書を電子化する場合は受領の翌日から3日以内に実施することを義務付けている。これに対しては「阻害要因となり得る」が61%、「これが原因で断念した」が7%と否定的な意見が7割近くに上った。

日本CFO協会によるアンケート結果
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日本CFO協会によるアンケート結果
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日本CFO協会によるアンケート結果
(出所:コンカー)

 社員本人による電子化の場合、さらに複数の社員が領収書を使い回すのを防ぐため、電子化する前に本人の自筆による署名を領収書の余白に記入しなければいけない。これについても「阻害要因となり得る」「これが原因で断念した」が合わせて34%となった。このほか、現在はコーポレートカードの利用明細を領収書代わりに使うことは認められていないが、「ぜひ認めてほしい」との意見が65%に上った。

 三村社長はこの結果を受けて「2017年末ごろまでに領収書の電子化に踏み切った当社ユーザー企業の最高財務責任者(CFO)から意見を集め、2018年前半に規制緩和を働きかけていきたい。各社CFOと関係省庁の担当者を集めて意見交換する場なども設けたい」と語った。

コンカーの三村社長
コンカーの三村社長
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 同日の会見でコンカーは、主力の経費精算サービス「Concur Expense」で領収書の電子化に関連した複数の機能を追加したと発表した。具体的には、領収書の画像データにタイムスタンプを付与する機能のほか、スマートフォンで領収書を撮影した際に人工知能(AI)で勘定科目を推定・付与するエムティーアイ(MTI)製の追加モジュール「FEEDER」、PFUのスキャナー、富士ゼロックスやリコーのデジタル複合機で領収書をスキャンしConcur Expenseに自動入力できる追加モジュールなどを発表した。