富士通は2017年7月27日、2017年4~6月期の連結決算を発表した。売上高は前年同期比2.5%増の9226億円、営業利益は同186億円増で49億円の黒字と、増収増益となった。金融、マイナンバーなど大規模案件のピークアウトや、ニフティの再編による影響があったが、製造や流通などの分野でSI事業が好調だった。PCや携帯電話も伸長した。なお、今期より富士通テンを非継続事業に分類している。

 同日の会見で、代表取締役副社長 CFO(最高財務責任者)の塚野英博氏は「第1四半期はほぼ計画通りの結果となった。構造改革の効果も確実に表れてきている」と話した。

富士通 代表取締役副社長 CFO(最高財務責任者)の塚野英博氏
富士通 代表取締役副社長 CFO(最高財務責任者)の塚野英博氏
[画像のクリックで拡大表示]

 SIが中心の「テクノロジーソリューション」セグメントは、売上高が前年同期比1億円減の6726億円、営業利益が同18億円減で52億円と減収減益となった。ニフティの個人向けネット接続事業が連結対象外になることによる減収約130億円が影響した格好だ。このセグメントのうちSI事業は同3.5%増の2189億円で「過去最高水準の数字」(富士通)。ネットワークの国内携帯電話基地局も好調だった。

 PCや携帯の「ユビキタスソリューション」セグメントは、売上高が前年同期比16.2%増で1540億円、営業利益は同34億円増で55億円の黒字となり、増収増益。個人向け中心にPCや携帯電話が伸びた。

 半導体や電子部品の「デバイスソリューション」セグメントは、売上高が前年同期比4.1%増の1353億円、営業利益は同46億円増の34億円の黒字と、増収増益となった。スマホ向け製品の需要が伸び、為替の円安効果もあり半導体中心に増収となった。

 2018年3月期通期の連結業績予想は「前回計画から変更なし」(塚野CFO)。売上高が4兆1000億円(前年同期比0.8%減)、営業利益は1850億円(前年同期比675億円増)。

 今後は新しい領域であるデジタルサービスに国内・海外ともにグループ全体で取り組んでいくとする。「AI、IoT、セキュリティに注力し、色々な仕掛けを作っているが、花開くまでそれなりの時間がかかる。国内では2022、3年まで右肩上がりになるのは確実だ」(塚野CFO)。2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックなどのインフラ投資が活性化し、ICT関連ビジネスが確実に上がっていくとする。

 一方、海外事業は「最大の課題」(塚野CFO)とした。国内は前年同期比5.4%の増収だったのに対し、海外は2.0%の減収。海外は、円に対して英国ポンドが下落した影響によるサービスの減収と電子部品の減収が響いた。

■変更履歴
記事掲載当初、塚野英博氏の役職を「取締役 執行役員専務」としていましたが、「代表取締役副社長」の誤りでした。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2017/07/27 23:00]