ビザ・ワールドワイド・ジャパン(Visa)は2017年7月27日、日本市場戦略に関する報道陣向け説明会を開催した。安渕聖司代表取締役は、伝統的に現金志向が強いとされる日本で決済のキャッシュレス化を進める方針を示した。

ビザ・ワールドワイド・ジャパン(Visa)の安渕聖司代表取締役
ビザ・ワールドワイド・ジャパン(Visa)の安渕聖司代表取締役
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 「日本政府は6月に出した『未来投資戦略2017』で、『今後10年間に、キャッシュレス決済比率を倍増し、4割程度とすることを目指す』と明記した。日本政府がキャッシュレス決済の目標値を示したのは大きな契機になる」(安渕代表取締役)。

 Visaは、セキュリティに優れ、店舗・消費者にとってスムーズに支払いができる非接触決済を拡大する方針を掲げた。日本ではSuica、iD、QUICPayなど国内独自仕様の非接触決済が普及している。一方でVisaが全世界で推進しているのは、国際標準仕様「EMV」に準拠した「Visa payWave」だ。

Visaが推進する非接触決済「payWave」の現況
Visaが推進する非接触決済「payWave」の現況
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 「訪日外国人が急増している。国別ランキング上位のうち、台湾や香港、豪州、シンガポールなどではpayWaveの利用者が多い。自国で親しんだ支払い手段を日本でも使えることが『おもてなし』になる」(安渕代表取締役)。

 一方で、訪日外国人の多数派である中国や韓国ではpayWaveの利用者は少なく、日本国内でもpayWave対応カードはほとんど発行されていない実態がある。小売・サービス業の店舗は、訪日中国人の利用を見込んで「アリペイ(ALIPAY)」「WeChat Pay(微信支付)」決済を導入する企業が多い。

 店舗にとって、訪日外国人・日本人ともに利用者の絶対数が少ないpayWave対応の優先順位は低いのが実情だ。これについて、安渕代表取締役はセキュリティの高い決済方法を義務づける改正割賦販売法への対応のためにカード決済端末の刷新を検討している企業が多いことを説明した。

 「法対応のために決済端末をリプレースする際には、わずかな追加コストでpayWaveにも対応できる。日本マクドナルドは全店でpayWaveに対応することを発表した。他にも、水面下では既にpayWave対応の決済端末を導入済みでもアクティブ化していない企業がある。2018年初めぐらいまでには導入企業が次々と登場するだろう」(安渕代表取締役)という。