SAPジャパンは2017年7月21日、プレスセミナーを開催し、中堅中小企業向けビジネスの最新動向と今後の戦略を説明した。冒頭、同社でバイスプレジデント ゼネラルビジネス統括本部 統括本部長を務める牛田 勉氏は今後の中堅中小企業向けビジネスにおけるパートナー戦略を「新規パートナーの開拓だけではなく、技術支援と営業支援も進める」と話した。

SAPジャパン バイスプレジデント ゼネラルビジネス統括本部 統括本部長の牛田 勉氏
SAPジャパン バイスプレジデント ゼネラルビジネス統括本部 統括本部長の牛田 勉氏
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 2017年6月には、6社のパートナーと「案件創出ワークショップ」を開き、最新のデジタルマーケティング手法や新規営業の獲得手法を共有したという。こうした営業・マーケティング支援活動は今月も実施しており、今後も予定しているとした。

 パートナーがユーザー企業にSAPの基幹システムを提供するには技術教育も不可欠という観点から、4~6月に合計で40回の技術サポート勉強会を開催。170社1300人のパートナーが参加したという。

 中堅中小企業向けビジネスを展開する新規パートナーも増やしている。1~3月と4~6月にそれぞれ10社が増えたとした。パートナーに関する今後の重点領域として「クラウドサービス」「ERP(統合基幹業務システム)以外」「エリアカバレッジ」の3点を挙げた。

 SAPの中堅中小企業向けビジネスの認知度を上げる活動も展開している。オンライン広告の掲載や、中堅中小企業向けサイトの開設のほか、2017年5月にはよりSAP製品に関心のあるユーザー企業向けのセミナーを開催。8月にも東名阪での開催を企画している。

パートナー4社が中堅中小向けビジネスの抱負語る

 プレスセミナーでは2017年1月以降にパートナーに加わった4社の担当者が登壇。今後のビジネスなどを語った。

 豆蔵グループのエヌティ・ソリューションズはERPのクラウドサービス「SAP Business ByDesign」を使って、「中堅企業マーケットの直接アプローチと、豆蔵の既存顧客である大手企業の事業会社や関連会社へのアプローチを、グループで協力して進めていく」(同社の中原 徹也社長)。業界団体のつながりを生かしたIT業界への展開も図るとした。

 続いて、国内外のECサイトの開発や運営、物流、カスタマーサポートを手がけるグッドスマイルロジスティクス&ソリューションズの藤井 直人氏が登壇。「SAP Hybris」のユーザー企業として、商品情報や商品在庫、出荷情報の管理が難しかった課題が解決できたとした。「越境ECに必要な全てがそろっているため、SAP Hybrisのパートナーになった」と説明した。

 コンサルティングや開発を手掛けるCEGBの福田 嘉一常務執行役員は「Business ByDesignはユーザー企業がビジネスで不便に感じることを解決し、さらに導入後のユーザー企業の成長に伴って真価が現れる」と説明。「Business ByDesignはコストと期間をかけず本番(稼働)できるが、(注意しなければいけない)進め方がある。ユーザーが中心となってERPに向き合って、(ERPを)かわいがってもらえるような形で提供したい」と話した。

 フューチャーグループのFutureOneは2015年からBusiness One(ERPのオンプレミス製品)を扱っており、今月からBusiness ByDesignの取り扱いも開始した。同社の桜田 浩社長は「自社(ERP)製品とSAPのサービスを並行して提供していく」と説明。自社に合った機能を求める顧客には同社が要件定義して自社ERPを提供し、低価格で早期に導入したい顧客にはSAPのBusiness OneやBusiness ByDesignを提供するとした。