「ビル営業部が使うデータベース(DB)システムを全社CRM(顧客関係管理)システムと連携したことで、外出先でもiPhoneやiPadから物件を検索できるようになった。業務効率は大幅に上がった」。

 三菱地所リアルエステートサービスの矢野雅章賃貸事業グループ執行役員は同社のビル営業部が使用するDBシステムの再構築プロジェクトをこう振り返った。矢野氏はテラスカイが2017年7月21日に開催したイベント「TerraSky Day 2017」に登壇し、同プロジェクトの経緯を説明した。

三菱地所リアルエステートサービスの矢野雅章賃貸事業グループ執行役員
三菱地所リアルエステートサービスの矢野雅章賃貸事業グループ執行役員
[画像のクリックで拡大表示]

 ビル営業部は首都圏における賃貸オフィスビルの仲介業務を担う。DBシステムは物件データと顧客データを蓄積し、物件の検索や候補物件の比較検討、営業履歴や契約内容の登録といった機能を備えているという。

各部署で独自システムが乱立

 「各事業部が独自にシステムを開発したため、顧客情報を全社で共有できていなかった。ITコストも必要以上に掛かっていた」。矢野氏は同社が抱えていたIT関連の課題をこう明かした。ビル営業部が使うDBシステムも「独自構築していたため、部内における顧客情報は他部署と共有できなかった」という。

 そこで同社は2014年、米セールスフォース・ドットコムのクラウドサービス「Salesforce」を使って、全社CRMシステムの新規構築を決定。同時に、ビル営業部のDBシステムをSalesforceと連携できるようにするため、テラスカイと協力して再構築することも決めた。

 矢野氏はDBシステムの再構築の要望として、画面の見た目や操作性を変えないことを挙げた。DBシステムは専属チームが毎日情報を更新するため、「操作性の変更は業務への影響が大きい」(矢野氏)とみたからだ。顧客への提案書をExcel形式で出力できることも要件とした。「Salesforceの標準機能ではPDF出力になるが、顧客ごとに項目をカスタマイズするにはExcelでの出力が必須だった」(同氏)からだ。