NTT東西地域会社が基幹系システムの刷新を見据え、システムの仕様統一に向けた協議を開始したことが2017年7月21日に明らかになった。光回線の加入者管理やサービス管理、線路設備管理などを含むシステム全般を対象しており、それぞれの次期システムの仕様を共通化することで開発・運用コストの削減を狙う。

 NTT東西では、1995年5月に稼働開始した顧客サービス統合システム「CUSTOM(カスタム)」をはじめ、複数のシステムをそれぞれ運用している。CUSTOMの稼働開始からの20数年間にNTT東西の固定回線を巡っては、光回線サービス「フレッツ光」やBtoBtoCモデルの「光コラボレーション」などサービスの提供形態や料金プランが多様化したほか、人口減少や携帯電話網の高速化などによる加入電話・ISDN回線の減少を光回線の契約増で補い切れなくなった。

 こうした環境の変化を踏まえ、次期システムの仕様をNTT東西で共通化して開発・運用コストを削減する。「仕様が統一されると、新たなサービスメニューや料金プランに対応しやすくなるメリットも期待できる」(NTT東日本)と見込む。ただ、NTT東西の基幹系システムを統合する可能性については「そうしたことは考えていない」(同)と否定している。

 NTTグループ内では他に、NTTドコモが携帯電話回線の顧客サービス統合システム「ALADIN(アラジン)」を運用中。NTT東西の次期システムにNTTドコモが合流する可能性については「仕様の共通化に関する協議はNTT東西だけで実施しており、NTTドコモは関係していない」(同)という。

 現行のCUSTOMは五つに分かれていた顧客サービス関連のデータベースを統合したという経緯もあり、開発に7年を要した。次期システムの稼働時期については「検討を開始した段階であり具体的な稼働時期を見通せる段階にない」(同)としている。またシステム投資額についても「公表できない」(同)とする。