大日本印刷(DNP)は2017年7月21日、セキュリティ研修サービス「サイバー・インシデントレスポンス・マネジメントコース(CIRM) 産業制御系 基礎」を同年9月に開始すると発表した。イスラエルの2社が共同開発した訓練システムで、産業系制御システムへのサイバー攻撃と対策を演習形式で学ぶ。

 同コースでは模擬プラントの制御システムを仮想環境上に構築。脆弱性のあるシステムへの擬似攻撃を題材に、受講者はリアルタイムで攻撃とインシデントレスポンス(事故対応)を体験する。産業系システムは攻撃に遭っても即時停止させるといった緊急策が取りにくいため、なるべくシステムを止めずに被害を軽減する手法を学ぶ。7割の演習と3割の座学で体系的に学習できるという。コースは5日間で、価格は1人当たり60万円(税別)。

訓練システムの講師画面。シナリオに沿って受講者の模擬システムを攻撃する。
訓練システムの講師画面。シナリオに沿って受講者の模擬システムを攻撃する。
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 CIRMはDNP子会社のサイバーナレッジアカデミーが2016年3月から提供中の研修サービスの総称。イスラエル国有の航空機メーカー、イスラエル・エアロスペース・インダストリーズ(IAI)が開発した訓練システム「TAME Range」を使って、「基礎演習」と「実践演習」の2コースを提供している。新設するCIRM 産業制御系 基礎では、産業系システムを手がけるイスラエルのスマートロジックがIAIと共同開発した産業制御系のシナリオを追加した。

 2017年秋には、サイバー攻撃のシナリオを自ら作成して訓練などに生かす人材を育成する「ホワイトハッカーコース」を提供する計画。TAME Rangeによる訓練システムの外販と合わせて、セキュリティ教育事業全体で2020年度までに30億円の売り上げを目指す。