米Oracleは2017年7月19日(米国時間)、パブリッククラウド「Oracle Cloud」と同じ仕様のクラウド環境をユーザー企業のデータセンター内に構築する「Cloud at Customer」で、PaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)やSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)を利用可能にしたと発表した。

 Cloud at Customerは、ユーザー企業の社内に構築したプライベートクラウドをOracleがネットワーク経由で運用し、ユーザー企業はシステムリソースを従量課金制で利用するというサービスだ。利用料金もパブリッククラウドと同じだ。これまではOracle CloudのIaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)と同一の機能や、「Oracld Database」のサービスなどがプライベートクラウドでも利用できた。

 今回の機能拡張によってPaaSの機能に関しては、データベースのサービスである「Oracle Database Cloud」(「Exadata」や「MySQL」をサービスとして利用できる)や、ビッグデータ分析のサービスである「Oracld Big Data Cloud」、アプリケーション実行環境のサービスである「Oracle Java Cloud」などが利用可能になった。OracleのAmit Zaveryシニア・バイス・プレジデントは「Oracle Cloudが備える機能は100%、Cloud at Customerでも利用できるようになる」と語る(写真)。

写真●OracleのAmit Zaveryシニア・バイス・プレジデント
写真●OracleのAmit Zaveryシニア・バイス・プレジデント
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 SaaSに関しては、ERP(統合基幹業務システム)の「Oracle ERP Cloud」や、マーケティング支援の「Oracle CX Cloud」、人事システムの「Oracle HCM Cloud」、サプライチェーン管理の「Oracle Supply Chain Management Cloud」などが利用できる。

 OracleのZavery氏によれば、2016年にサービスを開始したCloud at Customerは、既に全世界で100社以上の顧客を獲得し、その中には米AT&Tや米Bank of Americaといった大口顧客も含まれるという。日本では2017年7月に楽天カードがCloud at Customerの導入を発表している。

 パブリッククラウドと同一の機能をプライベートクラウドでも実現する仕組みとしては、米Microsoftも「Azure Stack」を販売しているが、Zavery氏は「パブリッククラウドの機能を全てプライベートクラウドでも利用できるようにしたのは、Cloud at Customerが初めてになる。Azure Stackはパブリッククラウドと完全に同じではない」と主張した。