ソフトバンクグループは2017年7月19日(米国時間)、屋内農業技術の米Plenty、自動運転技術の米Nauto、自動走行ロボット技術の米Brain Corporation(Brain Corp)という米国のスタートアップ3社への出資をそれぞれ公表した。3社が調達した資金の総額は4億7300万ドルに達する。

農業スタートアップに2億ドル出資

 屋内農業(Indoor Farming)技術を開発するPlentyは、ソフトバンクの「10兆円ファンド」として知られる「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」が主導する「シリーズB」の資金調達によって2億ドルを調達したと発表した。PlentyはLED照明やマイクロセンサー技術、ビッグデータ解析技術などを駆使して、野菜や果物を栽培する植物工場を開発しているスタートアップだ。消費者に近い場所で野菜や果物を生産することで、ローカル(地産)の商品を消費者に供給すること目指している。

 今回の資金調達にはソフトバンク・ビジョン・ファンド以外にも、Plentyの既存投資家も参加している。その中には、米Alphabet会長であるEric Schmidt氏の投資ファンドである米Innovation Endeavorや米Amazon.comのJeff Bezos CEO(最高経営責任者)の投資ファンドである米Bezos Expeditions、米国や日本、中国に拠点を構える米DCM Ventures、AgTech(農業テクノロジー)専門のベンチャーキャピタルである米Finistere Venturesなどが名を連ねている。

トヨタも出資する自動運転スタートアップに1億5900万ドル出資

 自動運転向けのAI(人工知能)技術を開発するNautoは、ソフトバンクグループと米Greylock Partnersが主導するシリーズBの資金調達で、1億5900万ドルを調達したと発表した。Nautoには2016年10月に、トヨタが米国に設けるAI(人工知能)研究子会社のToyota Research Institute、BMWのベンチャーキャピタル部門であるBMW i Ventures、ドイツの大手保険会社Allianzのベンチャーキャピタル部門Allianz Venturesなども出資している。

 Nautoは、運転中のドライバーの様子と周辺の状況を同時に撮影する後付け型のデバイスを開発している(写真1)。このデバイスは、車内撮影用と車外撮影用の2台のカメラやGPS、無線通信機能などを搭載する。運転中のドライバーの様子を分析して、居眠りなどの危険な行動を検出して警告したり、カメラで撮影した情報などを基にリアルタイムの交通情報をクラウド上に蓄積して活用できるようにしたりしている。

写真1●Nautoのカメラ装置を搭載した自動車
写真1●Nautoのカメラ装置を搭載した自動車
出典:米Nauto
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業務用掃除ロボットを自動化するスタートアップに1億1400万ドルを出資

 自動走行ロボット技術を開発するBrain Corpは、ソフトバンク・ビジョン・ファンドが主導する「シリーズC」の資金調達によって、1億1400万ドルを調達したと発表した。今回の資金調達には、Brain Corpの初期の投資家である米Qualcomm Venturesも参加している。

 Brain Corpは元々「脳型コンピュータ」の開発を目指していたが2015年に方針転換をし、2015年9月にロボット開発用ソフトウエア「BrainOS」を発売していた。その後2016年には、業務用ロボット向けの自動走行ソフトウエア「EMMA」を発売している。EMMAは床ふきロボットの自動運転などに使用できるとしている(写真2)。

写真2●Brain Corpの「BrainOS」を搭載した業務用掃除ロボット
写真2●Brain Corpの「BrainOS」を搭載した業務用掃除ロボット
出典:米Brain Corpration
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