ビジネスSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を運営するWantedlyは2017年7月19日、名刺管理アプリケーション「Wantedly People」で記事と広告の配信を始めた。管理する名刺情報を基にしたニュース記事や利用者の属性にターゲティングした広告をアプリに表示する。

 Wantedly Peopleはスマートフォンで撮影したりスキャナで取り込んだりした名刺の画像データから、人工知能(AI)が企業名や役職名などを自動認識してデータ化する無償の名刺管理アプリ。約2秒で名刺を認識してデータ化する速さが特徴だ。

 新機能は利用者が管理する名刺情報に関連したニュース記事などを配信する「Updates」と、広告を配信する「Ads」だ。

 Updatesは名刺交換をした相手の氏名や企業名、関係する業界のニュースなどを配信する。仲暁子CEO(最高経営責任者)はUpdatesを「名刺交換をしてつながった(名刺アプリの)データを生きた人脈に変えるものだ」と紹介した。配信した記事を話題にして交流を深め、人脈作りに役立てられるとする。

仲暁子CEO(最高経営責任者)
仲暁子CEO(最高経営責任者)
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 Adsにはスマホをタップしながら読み進めるアニメーション広告の「Story Ads」と一般的な広告記事の「Article Ads」がある。いずれもWantedlyが広告の作成から配信までを請け負う。動画広告を配信する「Video Ads」も後日提供予定だ。

 Adsの特徴は高収入者や企業の意思決定層に広告を配信しやすいこと。Wantedlyによると同社の名刺管理アプリ利用者のうち45%以上が世帯収入700万円以上であり、20%以上が社長や経営役員だという。「質の高い広告を専任の編集者やエンジニアが作るのも特徴」(新規事業推進室の逆瀬川光人氏)。Adsを使って広告を配信する料金は「(アプリの利用者層と)同様の読者層を持つ媒体の広告料と同程度」(同)。

新規事業推進室の逆瀬川光人氏
新規事業推進室の逆瀬川光人氏
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 Wantedly Peopleは同社がエンジニアの3分の1以上を割いて開発を進めている注力事業であり、Adsは初めての有償サービスだ。仲CEOは「Adsだけで(Wantedly Peopleの)黒字化を目指すわけではない」と今後の機能拡張にも意欲を示した。