米CAテクノロジーズのオットー・バークスCTO(最高技術責任者)
米CAテクノロジーズのオットー・バークスCTO(最高技術責任者)
[画像のクリックで拡大表示]

 「ソフトウエア工場(software factory)という言葉は以前から使われている。企業がデジタル技術を活用したイノベーションの創造を効果的かつ継続的に進める仕組みとして、我々はこの言葉に新たな意味を持たせている」。米CAテクノロジーズのオットー・バークスCTO(最高技術責任者)は2017年7月14日、報道関係者向けラウンドテーブルでこう説明した。

 CAが打ち出す新たなコンセプトは「モダン・ソフトウエア・ファクトリー」と呼ぶ。バークスCTOは、企業がイノベーションの創造を持続させるために実現を目指すべき仕組みとして「アイデア・ファクトリー」とモダン・ソフトウエア・ファクトリーを挙げる。アイデア・ファクトリーは新たな製品や機能、ビジネスのアイデアを生み出す組織的な仕組み。このアイデア・ファクトリーで生まれたアイデアを具現化するのがモダン・ソフトウエア・ファクトリーだ。「アイデアを基に製品やサービスを設計・構築・展開・運用するエンジンの役割を果たす」(バークスCTO)。

 バークスCTOは、CAの製品やサービスがモダン・ソフトウエア・ファクトリーの実現に寄与すると主張する。一例が「Mobile API Gateway」や「API Developer Portal」といったAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)管理製品。化粧品大手の仏ロレアルがこれらの製品を使って、取り引き・支払いシステムを標準化。アプリケーションの接続数を3倍に増やすなどの効果が得られたという。「API連携は、モダン・ソフトウエア・ファクトリーを実現するうえで必須の要素」とバークスCTOは強調する。

モダン・ソフトウエア・ファクトリーの特徴
モダン・ソフトウエア・ファクトリーの特徴
出所:米CAテクノロジーズ
[画像のクリックで拡大表示]

 モダン・ソフトウエア・ファクトリーの特徴として、バークスCTOは俊敏性、顧客からのフィードバックに基づく質の高さ、セキュリティ、顧客体験の質を高めるパフォーマンスを挙げる。「重要なのはまず速さ(velocity)。アイデアを顧客体験につなげるまでのスピードが必要だ。顧客からの継続的なフィードバックをイノベーションにつなげることも欠かせない」(バークスCTO)。

 バークスCTOはこのほか、CAにおけるアイデア・ファクトリーの取り組みとして「CA Accelerator」を紹介した。1年半前から進めている社内インキュベーション制度で、コンテナベースのDevOpsモデリングツールの「Yipee.io」、DevOps向けチャットボット「Cabot」、仮想的なIoT(インターネット・オブ・シングズ)デバイスを実現する「KnowThings.io」などのプロジェクトが進んでいる。「10のうち9は失敗するかもしれないが、特許など目に見えない成果物に加えて、次に生かせる学びを得られる」とバークスCTOは話す。