自動運転技術を開発するZMPは2017年7月13日、歩道を自動走行する宅配ロボット「CarriRo Delivery(キャリロデリバリー)」を発表した。食事や日用品を収める宅配ボックスを搭載し、センサーとカメラで周囲を認識して時速3~6キロメートルで歩道を移動する。同社は宅配サービス事業者と実証実験に取り組む方針で、第1弾として宅配寿司「銀のさら」を運営するライドオン・エクスプレスと8月にも実証実験に臨む。

CarriRo Deliveryの外観
CarriRo Deliveryの外観
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 CarriRo Deliveryの大きさは長さ1330×幅750×高さ1090ミリメートル。大人の腰くらいの高さで、スーツケースを一回り大きくしたほどだ。積載重量は100キログラムで、8時間稼働できる。

 内蔵の宅配ボックスはスマートフォンのアプリやQRコード読み取り機能などで施錠・解錠できるようにする見通し。利用者はスマホアプリから商品を注文すると、店舗の店員が商品をCarriRo Deliveryに載せて施錠。利用者宅まで歩道を自動走行し、商品を届ける。到着したら利用者のスマホに通知が届き、解錠して商品を受け取り、事前登録のクレジットカードなどから代金が引き落されるといったイメージだ。

食品や日用品を収納できる
食品や日用品を収納できる
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 「こんなロボがあったらいいなという私の妄想が、現実のものになりつつある」。ZMPの谷口恒社長はCarriRo Delivery開発の意気込みをこう語る。人手不足に直面する宅配業界の問題を解決するため、自動運転技術を使った宅配ロボのコンセプトビデオを公開したところ大きな反響があり、CarriRo Deliveryの開発に勢いを得たという。

 実証実験に参加するライドオン・エクスプレスの江見朗社長兼CEO(最高経営責任者)は「フードデリバリー事業は人件費をはじめ、コストとの戦い。宅配ロボへの期待は大きい」と語った。ZMPの宅配ロボについては「技術面はクリアしている。量産化に成功すれば、将来的には十分採算が合うと考えている」(同)。

ZMPの谷口恒社長(左端)とライドオン・エクスプレスの江見朗社長兼CEO(左から二人め)
ZMPの谷口恒社長(左端)とライドオン・エクスプレスの江見朗社長兼CEO(左から二人め)
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 銀のさらの商品を宅配する実証実験は私有地で実施する見通し。ZMPは実証実験と並行してCarriRo Deliveryが歩道を走れるようにするための法改正などを当局に働きかける考え。CarriRo Deliveryについては高齢者向けの電動車いすなどと同様の扱いにするよう訴える。