西松建設は2017年7月12日、導入と運用が手軽で安価なインフラ監視システムを開発したと発表した。現在は川崎市内の工事現場で実証運用を進めており、2017年内に仕様を確定し、2018年内の実用化を目指す。自社利用と他社への販売の両方を考えている。

 このインフラ監視システムは、小型センサーボックスと通信サービス、クラウドサービスで構成される。小型センサーボックスを計測したい場所に設置するだけで、センサーで計測したデータを無線通信でクラウドサービスに転送し、スマートフォンなどで時間や場所を問わずに確認できるようにする。

小型センサーボックス。同日開催した説明会で披露したもの
小型センサーボックス。同日開催した説明会で披露したもの
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 小型センサーボックスは、商品化時には9cm×9cm×5cmの寸法にする予定だ。傾斜と衝撃を計測する加速度センサーとGPSセンサー(紛失時の探索用)、温度センサーを搭載し、防水・防塵に対応した屋外仕様となっている。市販のリチウムイオン電池2~3本で動作し、通信頻度などの条件次第では2年以上稼働するという。簡単に設置できるよう、背面に磁石が付いている。

小型センサーボックスの裏面には磁石が付いている
小型センサーボックスの裏面には磁石が付いている
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 また長距離通信と低消費電力、低コストが特徴のLPWA(Low Power, Wide Area)による通信機能を搭載し、内蔵するセンサーの測定データを一定周期ごとにクラウドサービスに送信する。通信方式は仏シグフォックスが開発した「Sigfox」を採用した。国内では、京セラコミュニケーションシステム(KCCS)がSigfoxを使ったIoT機器向け通信サービスを提供しており、西松建設のインフラ監視システムもKCCSの通信サービスを利用する。利用企業にとっては、LPWAの基地局設置などの作業が不要で、小型センサーボックスを置くだけで使えるという利点がある。

 このシステムは、人が見回って目視している設備の監視などに向くという。監視対象の設備に小型センサーボックスを取り付けておき、傾いたり衝撃を受けたりしたことをクラウドサービスにアクセスして把握するといった使い方が可能である。

 価格に関しては、小型センサーボックスと2年分のデータ管理費用の合計で20万円程度を目標として、開発を進めるという。