米ハネウェルが保有する、試験用のボーイング757型機
米ハネウェルが保有する、試験用のボーイング757型機
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 米ハネウェルは2017年7月12日、インターネット接続機能を備えた試験用航空機のデモフライトを実施した。乗客向けにインターネット接続サービスを提供するほか、IoT(インターネット・オブ・シングズ)やビッグデータ分析の技術ノウハウを活用。機体の主要部品に取り付けたセンサーの測定値をリアルタイムに地上へ伝送し、気象情報の共有や故障予測にも活用できるとする。

試験用航空機の機内にある技術試験用のスペース
試験用航空機の機内にある技術試験用のスペース
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 同社保有のボーイング757型試験用航空機は、英インマルサットの「Global Xpress」に対応したアンテナを機体上部に搭載。インマルサットの通信衛星「I-5」との間で、Kaバンド(20GHz~30GHz)を使ってデータを送受信し、通信速度は下り最大50Mbps/上り最大5Mbpsである。報道関係者を乗せたデモ飛行の機内では、下り42Mbps/上り4.2Mbpsの実効速度が出ていた。

飛行中の試験用航空機の機内で測定した、無線LANサービスの通信速度
飛行中の試験用航空機の機内で測定した、無線LANサービスの通信速度
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 ハネウェルはこの衛星回線を、乗客向けのインターネット接続サービスとしてだけでなく、航空便の運行効率の改善につなげるサービス「Connected Aircraft」として提供する。同サービスに対応した航空機が、現在の飛行地点の気象情報を定期的に地上へ送り、地上側でその情報を集約して他の航空機へ送る機能や、エンジンの始動時や予備電源に使われるAPU(補助動力装置)について、内部に装着したセンサーの測定値を基に故障の兆候を予知して早期修理を促す機能などを提供する。

 ハネウェルの航空部門であるハネウェル・エアロスペースのポール・ネフ アジア太平洋事業開発ディレクターは「試験導入した香港のキャセイパシフィック航空では、上空から送られるビッグデータの解析により、部品が故障する前に修理でき、遅延・欠航する便の比率を前年比35%減と大幅に削減できた」と胸を張る。

ハネウェル・エアロスペースのポール・ネフ アジア太平洋事業開発ディレクター
ハネウェル・エアロスペースのポール・ネフ アジア太平洋事業開発ディレクター
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 現時点で、Connected Aircraftの民間航空会社への納入実績はキャセイと中国の海南航空の2社のみだが、国内外の民間航空会社やビジネスジェット保有者などに幅広く提供したいとしている。