国立がん研究センターとNECは2017年7月10日、AI(人工知能)を使って内視鏡検査の画像を認識するシステムを開発したと発表した。大腸の内視鏡検査で撮影した画像を、ディープラーニング(深層学習)技術を使って判定。がんとがんになる前の「病変」と呼ばれるポリープを検知する。人間の医者が発見できずに見落としてしまう病変を、より高い精度で検知できる。

 国立がん研究センターとNECの検証結果では、がんとがんになる前の病変を98%の発見率で検知できた。評価用の画像データを約5000枚判定させて検証した。 

国立がん研究センターの山田真善中央病院内視鏡科医員
国立がん研究センターの山田真善中央病院内視鏡科医員
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 国立がん研究センターの山田真善中央病院内視鏡科医員によると「内視鏡医による検査では、24%の病変が見逃されているという研究結果もある」。肉眼で見ても発見が難しかったり、医師の経験に左右されたりするためだという。

 開発したシステムにはNECが提供する顔認証技術を応用した。同社が提供するGPU環境で、がんと病変を含む画像データ約5000枚を深層学習アルゴリズムに学習させた。

 山田医員は「2019年度以降に実用化を目指す」と説明した。深層学習アルゴリズムに学習させるためには専用の計算環境が必要だが、実用化の際には市販のノートPC1台でも開発したシステムを動かせるようにする考えだ。

会見ではノートPCで動作するデモも披露
会見ではノートPCで動作するデモも披露
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