IoTプラットフォーム「SORACOM」などのサービスを提供するソラコムは2017年7月5日、カンファレンス「SORACOM Conference “Discovery” 2017」で、IoT向け無線通信技術であるLPWAを用いたサービスの拡充を発表した。同社は現在、LPWAに分類される技術の一つであるLoRaWANを使ったデータ通信サービス「SORACOM Air for LoRaWAN」を提供している。

 この日発表したLPWA関連の案件は4つ。(1)SORACOMのSigfoxへの対応、(2)SORACOM Air for LoRaWANで利用可能なデバイスとゲートウエイを追加、(3)SORACOM Air for LoRaWANとスカパーJSATの衛星通信を用いたIoT広域通信ネットワークの実証実験、(4)SORACOMとソニーのLPWAを用いたIoT広域通信ネットワークの実証実験――である。

カンファレンスの基調講演で話すソラコムの玉川 憲代表取締役社長
カンファレンスの基調講演で話すソラコムの玉川 憲代表取締役社長
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 SigfoxはLPWAに分類される技術の一つで、仏シグフォックスが提供するIoT向け通信サービスで使われている。日本では京セラコミュニケーションシステム(KCCS)が、Sigfoxのネットワークを展開している。ソラコムはKCCSのパートナー企業(Sigfoxパートナー)となり、Sigfoxのネットワークを介してIoTデバイスをSORACOMに接続できる「SORACOM Air for Sigfox」の提供を始める。SORACOMのWebコンソールやAPIを通じて、Sigfoxデバイスや通信の一括操作や管理が可能になる。またソラコムのアプリケーションサービスを使える。

 ソラコムが発売する予定のSigfox端末は、Sigfox センサーキットの「Sens’it」とオプテックスの「ドライコンタクトコンバーター」、Arduinoシールドの「Sigfox Shield for Arduino」の3種類。価格はSens’itが8478円、ドライコンタクトコンバーターが3万9800円。金額はハードウエア費用と契約事務手数料、SORACOM Air for Sigfox の1年分の料金(Sigfox通信料金とSORACOM アプリケーションサービス料金)が含まれる。SORACOM Air for Sigfox の通信は、デバイスあたり1日140回まで送信可能。また上記金額に含まれるアプリケーションサービス料金は、月に10円分のSORACOMアプリケーションサービス(Beam/Funnel/Harvest)利用料である。同日からSORACOMのWebコンソールから1個単位で購入可能。Sigfox Shield for ArduinoのSORACOM Webコンソールでの取扱開始時期と価格は別途発表する。

 カンファレンスの基調講演には、KCCSの黒瀬 善仁代表取締役社長がシークレットゲストとして登壇。「Sigfoxについてソラコムとのパートナーシップを発表できることを嬉しく思う。これを機に今後より一層IoTの普及に向け注力していきたい」と挨拶。Sigfoxの国内エリア展開を説明し、“新木場から浦安の間で飛ばした電波が永田町まで届く”などの電波伝搬試験の結果や、“海浜幕張から飛ばした電波が大井埠頭で受信できる”といった参考データを紹介し、長距離の電波伝搬がSigfoxの特徴であるとアピールした。また現在のSigfoxサービスは上り通信のみの提供だが、制度が改正されれば下り通信も提供可能だと説明した。

基調講演にゲストとして登壇した京セラコミュニケーションシステムの黒瀬 善仁代表取締役社長
基調講演にゲストとして登壇した京セラコミュニケーションシステムの黒瀬 善仁代表取締役社長
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