クラウドソーシング大手のクラウドワークスが悪質な業務依頼案件を人工知能(AI)で自動検知する仕組みを導入することが2017年7月5日、日経コンピュータの取材で分かった。独自開発した機械学習エンジンを使い、利用規約違反や報酬が極端に低い案件を9割の精度で自動検出。人間の目視も組み合わせて削除する。

 同社をはじめとする同業大手を巡っては、2016年末にキュレーションメディア「WELQ」などで品質の低い記事が大量に見つかった際、記事作成依頼を掲載する場として利用された経緯がある。クラウドワークスはAIなどのITを活用し、悪質な案件の排除に努める。

 同日から運用を始める。機械学習の技術を使って同社サイトに登録された業務依頼案件を分析。報酬額や依頼内容、登録者に求める行動などを基に、悪質な案件かどうかを判定する。キュレーションメディア向けの低品質な記事を量産していた案件は、1文字の単価が1円を下回っていたり「簡単に稼げる」などとうたっていたりした。

 新たに登録された案件が過去の悪質な案件と類似しているかどうかを、機械学習で判定する。5月から試行したところ、悪質案件と判定できた精度は91%。検出した悪質案件の数も人間の10倍以上に達した。直近10万件以上の案件全てを、毎日読み込ませ学習させている。