東京海上日動火災保険と、勤怠・経費管理クラウドサービスを提供するチームスピリット(東京・中央)は2017年7月3日、ITプロジェクトに関する保険について業務提携すると発表した。同日から二社の商品を組み合わせた新サービスの提供を始めた。提携を通じて、1年間で120社の保険契約獲得を目指す。
チームスピリットのプロジェクト原価管理ツール「TeamSpirit Leaders」を利用するソフトウエア開発会社やWeb制作会社が、プロジェクトのリスクに備えるために東京海上の「プロジェクトリスク保険」に加入する場合に、保険料を割り引く優遇措置を設ける。
東京海上日動の上田哲也情報産業部ICT室課長代理は「クラウドサービスを通じて保険加入を促進し、プロジェクトのリスクに保険で対応する考え方を広めたい」と話す。
チームスピリットの荻島浩司社長は「海外ではInsurtech(保険+テクノロジー)に着目した商品開発が盛ん。当社のサービスはプロジェクトや労務管理などに関わる新しい保険商品を売る際のプラットフォームになるはずだ」と説明する。
保険料や保険金算定の精度を向上
プロジェクトリスク保険は、開発会社がソフト開発やWeb制作をする過程で発生した事故による損害賠償金や事故対応費用などを補償する保険である。情報の消失や漏洩、著作権侵害などによって損害賠償責任を負うことになった場合、その金額を補償する。ただし、プロジェクト遅延などは補償対象外である。
プロジェクトリスク保険の保険料はソフト開発売上高によって変動する。従来は開発会社の売上高のうち、ソフト開発にかかわる売上高とそれ以外の売上高の切り分けが難しいために、保険料が割高になりがちだった。TeamSpirit Leadersを使うことで、ソフト開発の原価と売上高を正確に把握できるため、それに応じた必要十分な保険料を支払えば済むようになる。
TeamSpirit Leadersには、保険料をプロジェクトの原価として織り込んだり、保険金請求の対象になる事故が発生したときに対応する人件費や立て替え経費を集計したりする機能も追加した。