シュナイダーエレクトリックグループのデジタル社は2017年7月4日、IoT(インターネット・オブ・シングズ)を活用したAR(拡張現実)ソリューション「EcoStruxure Augmented Operator Advisor(エコストラクチャ オーグメンテッド オペレーター アドバイザー)」を発表した。略称は「シュナイダーARアドバイザー」で、8月末に発売する。

 シュナイダーエレクトリックはエネルギーマネジメント事業、およびオートメーション事業を展開する。デジタル社は日本国内に七つあるグループ会社の一つで、インダストリー事業を手がけている。

 販売の対象は産業全般、導入期間は最短で1か月。販売方法は専任者によるコンサルティングだが、今後はユーザー企業やシステムインテグレータがカスタマイズできるツールの提供や、セット機械メーカー向けのセルフサービス型ARシステムへの拡大も計画している。

 デジタル インダストリー事業部 バイスプレジデントの勝村 友一氏は、「1997年にリモート管理できる制御製品の販売を開始した。20年前にIoTの可能性を感じ、特許を取得していた。シュナイダーの売り上げの45%がIoTソリューションである。日本でも25年を超える生産現場での実績を持ち、主要制御機器の通信ドライバーをサポートしている」と同社の強みを強調した。

デジタル インダストリー事業部 バイスプレジデントの勝村 友一氏
デジタル インダストリー事業部 バイスプレジデントの勝村 友一氏
(撮影:大類 賢一、以下、同)
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保守作業を効率化して人的ミスを削減

 工場やプラントではさまざまな機器や設備が稼働しており、作業員はそれらを操作、保守しながら運用している。シュナイダーARアドバイザーは、AR技術を用いてタブレットの画面に工場内の機器や設備を映し出し、それらのマニュアルや指示書、図面などを呼び出して利用可能にする。AR技術によって、現実の映像に仮想的な映像や情報が重ね合わされて表示される。

 シュナイダーARアドバイザーは、タブレットにインストールするARアプリと制御機器に搭載したAR Server(Pro-face HMI サーバー)から構成され、AR Serverを通して、社内システムのSQLデータベース、ファイルサーバー上のドキュメント類、PLCにアクセスする。

シュナイダーARアドバイザーのシステム構成例
シュナイダーARアドバイザーのシステム構成例
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