アズジェントとイスラエルのセキュリティ企業であるKaramba Securityは2017年7月3日、都内でコネクテッドカーに関するセキュリティセミナーを開催した。セミナーの冒頭、イスラエル大使館 経済部 経済公使 経済貿易ミッション代表であるNoa Asher氏は、「日本とイスラエルの間では、サイバーセキュリティの分野で企業同士がお互いに補完し合える関係にある」と挨拶。続けて、「サイバーセキュリティの中でも、特に自動車テクノロジーの分野でのさらなるコラボレーションを進めたい」と今後の両国の取り組みの方向性を示した。

写真1●イスラエル大使館 経済部 経済公使 経済貿易ミッション代表 Noa Asher氏
写真1●イスラエル大使館 経済部 経済公使 経済貿易ミッション代表 Noa Asher氏
(撮影:下玉利 尚明、以下、同じ)
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 Noa Asher氏によれば、イスラエルでは300社以上の企業が「サイバー分野での新たな技術開発に取り組んでいる」という。これは、「日本とイスラエルの両国首相がサイバーセキュリティ分野でさらなるコラボレーションを進めるとコミットしたことによる」(Noa Asher氏)。そして、「Karamba Securityは、自動車分野のサイバーセキュリティにおけるパイオニアといえる。本日のセミナーで同社が日本市場でさらなる成功を収めることを望む」と述べた。

 続いて衆議院議員自民党IT戦略特命委員長の平井 卓也氏は、自民党の主な政調部会が「現状をどう改善するか」に取り組むのに対し、IT戦略委員会では「未来を考えて新しい法律などを整備している」と説明。いわゆる「プレゼントプッシュ」でなく「フューチャープル」の取り組みだと述べた。その視点でコネクテッドカーのセキュリティについて考えると、「自動運転レベル4やレベル5への期待は大きい。未来から逆算すると、まさに今が基盤を整備する時期だ」と強調した。

写真2●衆議院議員 自民党IT戦略特命委員長 平井 卓也氏
写真2●衆議院議員 自民党IT戦略特命委員長 平井 卓也氏
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 平井氏は、サイバー攻撃の被害が拡大している現状を踏まえ、「よく『負けに不思議な負けなし』と言うが、サイバーセキュリティの分野も同じ。セキュティ対策をきちんと実装していない企業や組織が被害にあう」と指摘。さらに、セキュリティはコストではなく、未来に対する最も重要な投資であるという見解を示した。

 続けて、「未来への投資を促進するために必要な政策、税制、補助金など、何らかの仕掛けを考え、日本の経営者の意識改革をするのが大切。セキュリティ投資に対し減税を受けられるようにするのが効果的であるなら検討していく必要がある」と政策の方向性を語った。

 平井氏に続いては経済産業省大臣官房審議官(商務情報政策局担当) 前田 泰宏氏が登壇し、「我が国のコネクテッドカーの展望と、セキュリティの重要性」と題して講演した。

 前田氏は、様々なモノが繋がることで、新たなビジネスモデルとなる「コネクテッドインダストリーズという言葉を最近、使い始めるようになった」と述べ、ビジネスモデルが「コネクテッド」となったときに、「何が従来のビジネスと異なるのか。いうまでもなくサイバーセキュリティだ」と重要性がますます高まっている現状を説明した。

 コネクテッドインダストリーの世界では、ある部分のセキュリティが破られると、「同時多発的にすべてのつながったモノが被害を受ける」(前田氏)と指摘。サイバーセキュリティの重要性を再認識して取り組むことの大切さを強調した。

写真3●経済産業省大臣官房審議官(商務情報政策局担当) 前田 泰宏氏
写真3●経済産業省大臣官房審議官(商務情報政策局担当) 前田 泰宏氏
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