ネットアップは2017年6月29日、日本国内向けの事業戦略発表会を開催した。この発表会において、米国で同年6月5日に発表した同社初のハイパーコンバージドインフラストラクチャー(以下、HCI)製品「NetApp HCI」を、国内では10月下旬に発売する予定だと明らかにした(写真)。

写真●ハイパーコンバージド製品について説明するネットアップシステム技術本部の近藤正孝常務執行役員
写真●ハイパーコンバージド製品について説明するネットアップシステム技術本部の近藤正孝常務執行役員
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 HCIは、サーバー仮想化環境や共有ストレージを1台のきょう体に統合したアプライアンス。米ニュータニックス、米デルEMC、米ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)、米シスコシステムズなどが手掛ける。

 NetApp HCIは後発となるが、ネットアップ システム技術本部の近藤正孝常務執行役員CTOは「先行製品が抱える三つのジレンマを解消した」と話す。三つのジレンマとは(1)性能、(2)拡張時の柔軟性、(3)他のITインフラとの連携である。

 (1)は、同一きょう体のHCIで複数のアプリケーションを利用するときに「あるアプリケーションのデータ処理が別のアプリケーションの処理に悪影響を及ぼすケースがしばしば見られる」(ネットアップの近藤氏)。データベースのように高い処理性能を要求されがちな用途と、他のアプリケーションを混在させたい場合に課題となりやすかった。

 NetApp HCIは既存のオールフラッシュストレージ製品をベースに開発したため、用途ごとに必要な性能を割り当てるQoS機能を備える。簡単な設定で性能を確保できるという。

 (2)の拡張時の柔軟性とは、例えばストレージ容量が不足し、CPUリソースは足りているケースが分かりやすい。既存のHCIの多くは、このようなときにストレージ容量だけでなく、CPUリソースも同時に拡張する必要がある。NetApp HCIは、ストレージ用とCPUリソース用でノードを独立させ、一方だけを拡張できるようにした。

 (3)他のITインフラとの連携は、例えばユーザー企業がハイブリッドクラウドを運用する際にジレンマとなりやすい。パブリッククラウド側で蓄積するデータと、HCIで利用するプライベートクラウドで蓄積するデータをいかに連携させるかを考慮する必要が生じる。NetApp HCIであれば、ネットアップの各種ソフトを併用することによって、簡単にデータ連携ができるようになるとしている。

 NetApp HCIの販売価格は未定。ネットアップは2017年8月下旬に見積もりを開始する予定である。