米AMDは2017年6月29日(米国時間)、企業PC向けCPUとしてラインアップを予告していた「Ryzen Pro」の詳細を公開した。
同社がこれまで「AMD PRO」として提供してきたCPUは、消費者向けCPUにビジネス向けのサポート(PROサポート)を追加した製品だった。Ryzen Proは、PROサポートの追加だけでなく、Ryzenでは無効化しているセキュリティ関連機能を有効にして差異化を図っている。
ラインアップは、Ryzen 7 Pro、同5 Pro、同3 Proでそれぞれ2モデル。消費者向けのRyzenとは仕様が異なるモデルも含まれている。いずれも、PROサポートが適用される。PROサポートの内容は、消費者向けCPUより厳密な品質管理、36カ月間の製品保証、24カ月間の供給期間、業界団体DMTF(Distributed Management Task Force)が提供するシステム管理ツール「DASH」への対応などだ。
名称 | コア/スレッド | 動作周波数 (最大) | 3次 キャッシュ | TDP |
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Ryzen 7 Pro 1700X | 8/16 | 3.5GHz(3.7GHz) | 16MB | 95W |
Ryzen 7 Pro 1700 | 8/16 | 3.0GHz(3.7GHz) | 16MB | 65W |
Ryzen 5 Pro 1600 | 6/12 | 3.2GHz(3.6GHz) | 16MB | 65W |
Ryzen 5 Pro 1500 | 4/8 | 3.5GHz(3.7GHz) | 16MB | 65W |
Ryzen 3 Pro 1300 | 4/4 | 3.5GHz(3.7GHz) | 8MB | 65W |
Ryzen 3 Pro 1200 | 4/4 | 3.1GHz(3.4GHz) | 8MB | 65W |
Ryzen Proで有効にしたセキュリティ機能をAMDは「Secure Technology」と呼ぶ。メモリーへのデータ書き込みをAES-128で暗号化する、不正なブートイメージでは起動できなくする、アプリケーション実行時にセキュアな処理をハードウエア的に行う仕組みなどの機能が含まれる。Ryzen Proは従来のAMD製CPUと同様に、セキュリティ処理用に英アーム(ARM)の「Cortex-A5」ベースのコアを内蔵しており、「Trust Zone」と呼ばれるセキュアな実行環境が使えるようになっている。
米AMDは、競合となる米インテルのCore i7、同i5、同i3との性能比較も開示した。ほとんどのベンチマークテストでRyzen Proが有利だとしている。AMDは、Ryzen Proの出荷時期や価格は明らかにしていない。同社は8月29日(米国時間)に、Ryzen Proについて追加の情報を公開するとしており、そのタイミングで出荷時期や価格を公開するとみられる。