NHKは2017年6月27日、ネットを利用した放送の常時同時配信に関連して、NHK受信料制度等検討委員会の答申案を公表するとともに意見の募集を開始した。常時同時配信とは、NHKが放送するテレビ番組を、原則としてそのまますべて放送と同時にインターネットを通じて配信することを指す。

 NHKでは、情報の社会基盤としての役割を果たすことを目指して、放送に加えてインターネットを利用してNHKの放送番組を届ける方針を打ち出している。時期については、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックを念頭に、その1年前の2019年には常時同時配信を本格的に開始することを想定する。

 ただし、放送の常時同時配信の実現には、テレビで視聴している世帯が支払う受信料の価値を毀損しないような公平な負担とすることが求められる。そこで、NHK会長の諮問機関としてNHK受信料制度等検討委員会を2017年2月に設置し、まずは「常時同時配信の負担のあり方」など3件について諮問していた。このたび、そのうち負担のあり方についての答申案概要を公表した。

 答申案では、「既に放送受信契約を結んでいる世帯に対しては追加負担を求めないことが適当」「それ以外の世帯の費用負担の性質としては、受信料型を目指すことに一定の合理性有り」「受信料型の場合にパソコンやスマホなどを所持・設置したうえで常時同時配信を利用するために何らかのアクションもしくは手続きをとり視聴可能な環境をつくったものを費用負担者とすることが適当」といった方針を打ち出した。

図●答申概要
図●答申概要
(出所:NHK)
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 今回の方針に基づくと、受信料型であっても「パソコンやスマホを所持・設置しただけでは費用負担を求めない」ということになる。こうした考え方は、総務省の「放送を巡る諸課題に関する検討会」においてNHKが説明してきた内容にも沿う内容だ。

 答申案では、「受信料型は制度検討などに時間がかかることが予想され、当面の暫定措置を検討する必要がある」と暫定措置の可能性に言及した。暫定措置として「有料対価型のほか、一定の期間は費用負担を求めない運用も考えられる」とした。

 地域放送については、「常時同時配信において地域放送を配信することが求められ、その際、地域における二元体制の観点から民放への配慮も十分考慮するこが望ましい」とした。

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