AIGグループのAIU損害保険は2017年6月27日、グローバル企業が想定すべきサイバーリスクの最新事情と題した報道向けセミナーを開催した。AIU損害保険 企業賠償・経営保険部 部長補佐の阿部 瑞穂氏は冒頭、「保険会社がこのようなプレスセミナーを開催することは少ないが、AIGグループはサイバー攻撃のリスクや保険の重要性についてきちんと語れる保険会社であるという印象を持っていただきたい」と挨拶した。

AIU損害保険 企業賠償・経営保険部 部長補佐の阿部 瑞穂氏(撮影:林 徹、以下同じ)
AIU損害保険 企業賠償・経営保険部 部長補佐の阿部 瑞穂氏(撮影:林 徹、以下同じ)
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 AIU損害保険は、2012年から日本国内でもサイバー保険を取り扱っており、ここ3年間は年率150%と大きく取り扱いを伸ばしている。最近になって取り扱いが増加してきた背景について阿部氏は、2015年に経済産業省が発表した「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」が契機の一つになったという見方を示した。

 阿部氏によれば、企業の業務が縦割りである日本では、保険を契約する総務部門とサイバーセキュリティを担当するIT部門との間で、どちらが主導的に検討すべきか明確にできなかったという。経営のガイドラインの登場で、「経営上のリスクであることが明記されたため、企業への浸透が進んだ」(阿部氏)。

 続けて阿部氏は、サイバー保険が先行している海外の状況を紹介。世界のサイバー保険の市場規模について、現在は年間2000億円ほどで、これが2020年には4倍の8000億円に大きく伸びるという。阿部氏は欧米のブローカーの話を取り上げ、「従来のサイバー保険は情報漏洩への補償という切り口だったが、現在は事業継続のためのプロテクションとして案内している」と説明。さらに「日本でも今後は、このような切り口でサイバー保険について理解が進むだろう」と話した。