NTTドコモは2017年6月23日、AIエージェントAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)のオープン化に関する説明会を開催した。小売り、金融、交通などの他社サービスと、音声対応のAIエージェントAPIを連携できるようにし、スマートフォンや家電など様々なデバイスを通じた新たなサービスを提供可能にする。

 NTTドコモの中山俊樹副社長は、「中期戦略2020で新しいAIエージェントを提供すると発表した。今回、その中核となるドコモのAPI群を開発した」と説明。2018年春に具体的なサービスを提供開始するとし、パートナー企業と開発を進める。

左から、高島屋の髙山俊三常務取締役、NTTドコモの中山俊樹副社長、インテルの江田麻季子社長、カカクコムの村上敦浩取締役
左から、高島屋の髙山俊三常務取締役、NTTドコモの中山俊樹副社長、インテルの江田麻季子社長、カカクコムの村上敦浩取締役
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 家電メーカーなどデバイスを提供する企業、そして小売りや外食、交通などサービスを提供する企業にAPIを開放することで、ビジネスを急速に拡大することを目指す。2020年に今回の取り組みで100社と協業するのが目標だ。

 キャラクターや家電、車などのデバイスなどが、音声で消費者の要望に応える。説明会ではデモを披露。ユーザーがテレビをつけると、テレビの中のエージェントが「何かご用ですか?」と話しかける。ユーザーが「タクシーを呼んで」と言うと、交通専門のエージェントが現れ、ユーザーの要望に応じてタクシーを手配する。

テレビをつけると、エージェントが話しかける
テレビをつけると、エージェントが話しかける
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ユーザーの目的に応じて、パートナー企業の提供するエキスパートエージェントが要望に応える。交通、百貨店、医療、料理など、様々なキャラクターが想定される
ユーザーの目的に応じて、パートナー企業の提供するエキスパートエージェントが要望に応える。交通、百貨店、医療、料理など、様々なキャラクターが想定される
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 APIは「多目的対話エンジン」「IoTアクセス制御エンジン」「先読みエンジン」の3つだ。「多目的対話エンジン」は、自然言語処理技術を活用。ドコモが2012年3月から提供している「しゃべってコンシェル」で蓄積してきた音声認識や対話技術に関するノウハウを用いている。「IoTアクセス制御エンジン」は、標準化された汎用性の高いWebインタフェースを用いてIoT機器との相互接続を容易にする。「先読みエンジン」は、ユーザーの行動分析技術であり、ユーザー一人ひとりに合わせたサービスを提供することを可能にする。

 海外を含めた競合他社との違いとして、日本語の自然言語処理に強みがあること、「先読みエンジン」の2点という。「ユーザーの言ったことに答えるだけでなく、先のことを考えたり顧客の意図解釈をしたりすることで行動支援をする。一歩先を行くサービスと自負している」とNTTドコモのR&D戦略部長 兼 イノベーション統括部長の大野友義執行役員は述べた。