インテルは2017年6月22日に報道関係者向けの説明会を開催し、同社の自動運転に対する取り組みを紹介した。インテルは自動運転を注力分野の一つに位置付けており、2017年1月には開発ツールを含むブランドとして「インテルGO」を発表している。
説明会では、江田麻季子社長がまず登壇した。江田社長は、2017年半ばに投入するサーバー向け新CPU「Xeonプロセッサースケーラブルファミリー」や、後半に提供予定の「第8世代Coreプロセッサー」、間もなく登場する高性能デスクトップPC向けのCPU「Core X」シリーズなど、最近の発表案件を振り返りつつ、インテルの基本戦略を説明。インテルは自動運転をAI/機械学習、IoT、5G、VR(仮想現実)/ゲームと並ぶ注力分野の一つに位置付けているとした。
続いて登壇したインテル事業開発・政策推進ダイレクター兼チーフ・アドバンストサービス・アーキテクトの野辺継男氏は、自動車とITの関わりの歴史から、今後の自動運転技術の見通しについて解説した。
1970年代までは自動車とITはほとんど関係なかったが、FI(フューエルインジェクション)やABS(アンチロック・ブレーキ・システム)でECU(電子制御ユニット)が搭載され、続いてナビゲーションシステムが生まれた。日本では2000年ごろにNTTドコモの「iモード」などにより、データ通信が普及して車に乗っていながら様々なデータを得られるようになった。一方、海外では2010年以降にスマートフォンが成長した。
その後は、車載のセンサーやカメラからの情報を基にした自動運転の開発が進められている。高速道路は走行に対する阻害要因が少なく自動運転の実現が比較的容易だが、主要幹線道路は、信号や横断歩道、対向車の右折など考慮する要素が増えるため、非常に複雑なアルゴリズムが必要になる。さらに生活道路では、白線がない、狭い、歩行者や自転車が近くに居るなどで予測が極めて難しくなる。
しかし、車載センサーやカメラからのデータをクラウドに上げて分析するようになると、生活道路での自動運転も現実味を帯びてくる。最寄りの駅から自宅までの狭い領域について完全な3次元の地図を作って、他車の走行データを大量に集めて学習させる。人間が考えていることをクラウド内のコンピュータで計算し、10分の1秒ごとに自動車にフィードバックしながら走る。野辺氏は「高度画像認識と深層学習により、2020年以降には運転手のいないタクシーも実現できるのではないかとの見方がある」とし、インテルとしてはこの全体像をサポートしたいとした。