総務省は2017年6月22日、契約時の料金プランや契約条件などの説明が不十分だとして、携帯電話大手3社に対して行政指導を行う方針を明らかにした。

 同日に開かれた「消費者保護ルール実施状況のモニタリング定期会合」で、その根拠となった覆面調査や利用者のアンケート調査などを公表。販売現場では、期間拘束がある「2年縛り」契約など料金や契約条件の説明で電気通信事業法の違反が続いているとした。重要事項を書面にして分かりやすく説明するなど法令順守を徹底させるため、今回の会合後、日を改めて行政指導を実施するとした。

 総務省の調査は2017年1~3月にかけ、全国の販売店で1社当たり100回、合計300回の契約手続きを覆面で調べた。販売員からサービスや料金などの説明を受けてから契約直前で手続きを中止し、重要事項を説明したかなどやり取りを評価した。覆面調査とは別に、3社合計で約2100人の利用者(電気通信事業法の改正後に新規契約した人)に対して、契約前の説明状況や現在の理解状況を聞き取るWebアンケートも実施している。

 覆面調査の結果は、期間拘束がある「2年縛り」契約などで、問題のあるケースが大多数を占めた。例えば、2年縛り以外の料金プランがあることを紹介しなかったケースが68%、2年縛りの拘束条件や自動更新の仕組みを適切に説明しなかったケースが66%に達した。

 違約金や月途中の解約時の料金など、解約時の費用について十分な説明がなかったケースは51%あった。特に解約月に基本料金が日割り計算されるのかどうかの説明がなかったケースは76%に上っている。

 携帯電話サービスは、電波の受信状況が悪かったり契約前の説明が不十分だったりした場合に8日以内の申し出で解約できるが、この説明が不十分だったケースは79%に達した。総じて重要事項をきちんと説明できていない状況が目立つ結果だ。

 2016年に施行された改正電気通信事業法は、通信サービスの契約時に重要事項を記した書面を交付して加入者に説明することなどを義務付けている。契約内容を理解してもらったうえで消費者と契約を結ばせるためである。

 このほかに、NTTドコモに対しては初期契約解除に関する改善も指導する。電波の受信状況が悪いなどのケースで解約できる初期契約解除制度は今回の電気通信事業法改正で導入されているが、NTTドコモは解約に応じるケースが著しく少なかったという。