名刺管理クラウドサービス大手のSansanは2017年6月22日、転職求人市場に参入すると発表した。名刺管理機能を持つSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)「Eight」で、企業の人事担当者が転職のオファーをEightの利用者に送れる有償サービス「Talent Solution」を始める。早ければ6月28日にも販売する。

 同社Eight事業部長の塩見憲司取締役は「3年以内にEightでしっかりとした収益を立てて、将来的には2本目の事業の柱にしたい」と目標を話す。現在は法人向けの名刺情報共有クラウドサービス「Sansan」が収益の中心だという。

Sansan Eight事業部長の塩見憲司取締役
Sansan Eight事業部長の塩見憲司取締役
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 Eightは個人向けの名刺管理サービスで、名刺交換した利用者がメッセージを送り合ったり名刺の更新情報を共有したりするSNSの機能がある。約150万人分のアカウント登録があり、無償の利用者が中心だ。

 同社はEightで企業情報を紹介するページが作れる無償の新機能「企業ページ」を6月28日にも実装予定。併せて企業ページの有償オプションとしてTalent Solutionを実装する。

 Talent SolutionはEightが持つ利用者の名刺情報や職歴情報、業界や企業ごとの転職実績などを人工知能(AI)で分析して、企業の求人要件に合う利用者をリスト化して転職のオファーを送れるようにする。

企業の人事担当者がパソコンから転職のオファーを送り、Eight利用者がスマートフォンのアプリでオファーを受け取ったデモの様子
企業の人事担当者がパソコンから転職のオファーを送り、Eight利用者がスマートフォンのアプリでオファーを受け取ったデモの様子
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 Eightは名刺情報の更新から1日当たり約500件の転職実績データを収集している。SansanはAIを使った分析で転職意欲が高そうなEight利用者を抽出できると見る。

 Eight事業部の千住洋チーフプロデューサーは「Eightの使い勝手を損なわない実装にする」と話した。オファーの受信を拒否する機能を実装するなど、利用者の反応を見ながら機能を調整するという。

Sansan Eight事業部の千住洋チーフプロデューサー
Sansan Eight事業部の千住洋チーフプロデューサー
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 Talent Solutionを使って企業が送れる転職オファーの数は制限があり、AIが抽出した数十から数百の利用者リスト以外には送信できない。価格は「最終調整中」(塩見取締役)で、月額数十万円程度になると見られる。企業ページは広告を配信する有償サービス「Ads」も実装予定だ。