総務省は2017年6月21日、東経110度CS(右旋)における衛星基幹放送のハイビジョン化を推進するため、放送法関係審査基準(平成23年6月29日総務省訓令第30号)の一部を改正する訓令案を作成したと発表した。

 訓令案には、高精細度テレビジョン放送(ハイビジョン放送)に関する衛星基幹放送業務の認定先を決める際に、周波数が不足する場合に実施する比較審査の規定を盛り込んだ。同省は今回の訓令案作成を、東経110度CS放送のハイビジョン化を推進するための衛星基幹放送業務の認定申請受け付けの実施に向けた措置と位置付ける。

 今回の審査基準案は、大きく三段階に分けて審査を行う内容になっている。まず第一段階として、認定を受けるうえで必ず満たすべき条件となる基準への適合性を確認する「絶対審査」を実施する。

 絶対審査の各基準に適合するとみなされた申請者は第二段階の「第一次比較審査」の対象となる。「広告放送の割合が3割を超えない(有料放送を除く)」「青少年の保護(成人向け番組を行わない)」「字幕番組の充実(字幕付与率が5割以上)」「放送番組の高画質性(ピュアハイビジョン番組の比率が5割以上。ハイビジョン放送の申請に関する審査に限る」――という四つの基準のいずれにも適合するかどうかを審査する。

図●今回の審査基準案の概要
図●今回の審査基準案の概要
(出所:総務省)

 第三段階の「第二次比較審査」では、特定の条件を満たす申請を優先して認定の対象とする。最優先とするのは、既存のSDTV放送のハイビジョン化(12スロットを申請スロット数とするものに限る)を目的とする申請のうち、認定を受けることを条件に申請者の既存チャンネルから12スロット以上の帯域を廃止・削減する申請である。

 そのうえで割り当てることができる帯域が余っている場合は、優先順位の高い申請から総合的に審査を行い、順次認定先を決める。優先順位の高い審査の順序は、(1)既存のSDTV放送のハイビジョン化に関する申請(12スロットを申請スロット数とするものに限る)、(2)新規のハイビジョン放送に関する申請(同)、(3)既存のSDTV放送の高画質化に関する申請(6スロットを申請スロット数とするものに限る)、(4)「その他の申請」――とする。

 総務省は今回の訓令案について、2017年6月22日から7月21日までの間、意見募集を行う。その後、提出された意見などを踏まえ、放送法関係審査基準を改正する。さらに2017年秋をメドとして東経110度CS(右旋)における衛星基幹放送の業務の認定申請受け付けを実施する。認定は2018年春をメドに行う予定。

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