米AMDは2017年6月20日(米国時間)に米国テキサス州オースチンで発表会を開催、サーバー向けの新CPU「EPYC 7000」を正式に発表した。同社の最新アーキテクチャー「Zen」を採用した製品で、従来の同社製サーバー向けCPUから性能や拡張性を大幅に高めた。

EPYC 7000の主な特徴。
EPYC 7000の主な特徴。
(出所:米AMD、以下同じ)
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 EPYC 7000は、同社が個人向けに3月から販売しているデスクトップPC向けCPU「Ryzen 7」や「Ryzen 5」と同じダイ(半導体本体)を4個、MCM(マルチ・チップ・モジュール)の形で搭載したサーバー向けプロセッサだ。これにより、プロセッサ1個当たり8チャンネルのDDR4メモリーと、合計128レーンのPCI Expressを利用できる、サーバー向けとしてはかなり拡張性の高い構成となっている。

4個のダイ(半導体本体)の間は「Infinity Fabric」と呼ばれるAMD独自のインタフェースで接続する。
4個のダイ(半導体本体)の間は「Infinity Fabric」と呼ばれるAMD独自のインタフェースで接続する。
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それぞれダイから2チャンネルのDDR4と32レーンのPCI Expressが出る。4個のダイの合計でこの数字となる。
それぞれダイから2チャンネルのDDR4と32レーンのPCI Expressが出る。4個のダイの合計でこの数字となる。
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 EPYC 7000は2ソケット構成も可能。その場合、PCI Expressレーンの半分をソケット間接続に利用することで、PCI Expressレーンの合計数は同じながら、最大64コア、最大搭載メモリー4TBのシステムが構築できるという。

2ソケット構成では、PCI Express 128レーンのうち半分を使って相互に接続する。このときPCI Expressではなく、Infinity Fabricとして動作する。
2ソケット構成では、PCI Express 128レーンのうち半分を使って相互に接続する。このときPCI Expressではなく、Infinity Fabricとして動作する。
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 EPYC 7000の2ソケット向けは9製品。AMDは、個々の価格は明らかにしなかったが、競合する米インテルの「Xeon E5 v4」シリーズとの比較、という形で価格範囲を示した。

TDP(熱設計電力)はカタログ値であり、例えば「EPYC 7601」は最低165W、最大200Wの範囲で調整可能となっている。
TDP(熱設計電力)はカタログ値であり、例えば「EPYC 7601」は最低165W、最大200Wの範囲で調整可能となっている。
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EPYCの価格と性能。縦軸はおよその価格、横軸はベンチマークテスト「SPECint_rate_base2000」のスコアを利用しての相対性能である。
EPYCの価格と性能。縦軸はおよその価格、横軸はベンチマークテスト「SPECint_rate_base2000」のスコアを利用しての相対性能である。
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 一番下は8コアの「EPYC 7251」で、400ドル~600ドルの間。一番上は32コアの「EPYC 7601」で、4000ドル以上になるという。ただ、競合製品と位置付けられる「Xeon E5-2699A V4」が4938ドルだとされているので、恐らくはここから大きく離れない価格になるとみられる。