米IDCが現地時間2017年6月19日に公表したVR(virtual reality、仮想現実)とAR(augmented reality、拡張現実)のヘッドセット市場に関するリポートによると、2016年時点で約940万台だったこれら機器の世界出荷台数は、今後年平均57.7%の成長率で伸び、2021年には約9170万台と、ほぼ1億台に達する見通し。

 IDCによると、現在のところ、この市場をけん引しているのは、韓国Samsung Electronicsの「Gear VR」や、米Googleの「Daydream View」といった、スマートフォンを組み込み、その画面をディスプレーとして使うスクリーンレス・ビューワー。

 だが、2016年後半には、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)の「PlayStation VR」や、台湾HTC(宏達国際電子)の「HTC Vive」、米Facebook傘下Oculus VRの「Oculus Rift」といった、パソコンやゲーム機などと接続して使うテザードヘッドセットも出荷台数を伸ばした。今後1年半は、米Microsoftやパソコンメーカー各社のスタンドアロンヘッドセットやテザードヘッドセットが、この市場をさらに活気づけるとIDCは予測している。

 一方、AR専用のヘッドセットは当面、VR用ヘッドセットほど出荷台数が伸びない。だが、その業界に及ぼす影響はVRよりもはるかに大きいとIDCは指摘する。

 同社によるとARは、まず一般消費者がスマートフォンやタブレット端末用のアプリを使って体験することから始まるという。米Appleが先ごろ、iOS向けAR開発プラットフォーム「ARKit」を発表したが、これが消費者のAR体験を後押しするとしている。

 しかし、ARは、産業分野における可能性が広がっており、今後は医療、製造業、フィールドサービス、設計などの垂直市場で積極的な投資が行われる。これにより2021年には、世界で出荷されるARヘッドセットの8割以上が産業用となり、そのころには多くの産業分野で仕事が根本的に変わるとIDCは予測している。

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