アパート賃貸大手のレオパレス21が民泊事業への参入を本格検討していることが2017年6月16日までに分かった。日経コンピュータの取材に深山忠広副社長が明かした。旅行者を住宅に有料で泊める「民泊」を解禁する住宅宿泊事業法が2017年6月9日に成立したのを踏まえ、施行後のさらなる法改正を見据えてIT整備などを進める。

 レオパレス21は借り手との賃貸契約を電子的に済ませることができる仕組みや、家賃などの電子決済システムを導入済み。さらに部屋の鍵をスマートフォンやインターネット経由で開閉できるスマートロックの導入も進めている。

 これらの仕組みを活用すると、システム上は宿泊希望者に空き物件をネットで紹介し、宿泊料の支払いや鍵の管理までスマホアプリなどで済ませることが可能だ。深山副社長は「外国人観光客はもちろん、ビジネスパーソンが出張先でホテルの代わりに使う需要も見込める」と期待する。

 同社は約57万戸の賃貸物件を管理している。単身者向けが多く、平均入居率は約9割に達する。外国人が入居する物件が約1万6000戸あり、入居者へのサポート業務は英語や中国語、韓国語、ポルトガル語、ベトナム語に対応している。こうしたサポート体制も活用できる。

 ただ障壁も残る。住宅宿泊事業法は2018年1月にも施行するとみられるが、同法は物件の管理を外部事業者に委託するように義務付けているほか、宿泊施設として提供できる日数に制限がある。レオパレス21は、さらなる規制緩和が進まないと参入しても採算が合いにくいとみており、IT整備と収益予測を進めながら参入時期を見極める。