米Amazon.comは現地時間2017年6月16日、高級スーパーマーケットチェーンの米Whole Foods Marketを買収することで両者が最終合意したと発表した。買収総額は、Whole Foods Marketの債務も含め、約137億ドルにのぼる見通し。

 Amazon.comは、Whole Foods Market株式1株につき42ドルを現金で支払う。1株42ドルという買収額は、前日(6月15日)の終値より27%高い。

 買収にはWhole Foods Market株主の同意や当局の承認などが必要となるが、2017年後半に手続きを完了すると見込んでいる。

 Amazon.comのJeff Bezos最高経営責任者(CEO)は「何百万もの人々が、自然食品および有機食品を扱うWhole Foods Marketを愛し、健康的な食生活を楽しんでいる。同社は40年近くにわたって顧客を満足させ、喜ばせてきた。我々はこの素晴らしい仕事を今後も続けていきたい」と述べた。

 Whole Foods Marketは買収後も従来のブランドで店舗を運営し、John Mackey氏がCEOにとどまる。本社も引き続きテキサス州オースチンに置く。

 Whole Foods Marketは1978年に創業し、現在、米国、カナダ、英国に460店舗以上を展開している。約8万7000人の従業員を抱え、2016年の総売上高は160億ドルにのぼる。

 しかし7四半期連続で既存店売上高が減少しており、最近、投資家の圧力により取締役会を刷新した(英Reutersの報道

 Amazon.comはWhole Foods Market買収によって生鮮食品販売事業をいっそう強化したい考え。同社は生鮮食品の会員制ネット販売「AmazonFresh」を10年前から展開しているほか、ドライブスルー方式の商品受け取りサービス「AmazonFresh Pickup」を最近開始した。また、レジ精算不要の実店舗「Amazon Go」を従業員向けに試験営業している。

 ネット技術と低価格で小売り業界に大きな影響を及ぼしているAmazon.comが、8000億ドル規模とされる米国の生鮮食品市場で地位確立を狙う。ただし同社は、Whole Foods Marketに大きな変更を加える計画はなく、当面、低価格路線やAmazon Goの技術を導入しないとしている(米CNET)。

 Amazon.comによるWhole Foods Market買収の報道のあおりを受け、米国ではWalmart株が約4.7下げ、Kroger株が約9.2%下落した。一方Amazon.comの株価は2.4%上昇、Whole Foods Market株は約29.1%急騰した。

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