LINEは2017年6月15日に開催した「LINE CONFERENCE 2017」で、クラウドAI「Clova」を活用した事業戦略を発表した。スマートフォンだけでなく、ウエアラブル機器やIoT機器、自動車や小売店舗などもClovaとつないで人工知能(AI)機能を利用できるようにする。Clovaと連携できるスマートデバイスの普及を促進させることで、新しいビジネスモデルを創出する狙いだ。

クラウドAI「Clova」を活用した事業戦略を紹介するLINEの出澤剛社長CEO(最高経営責任者)
クラウドAI「Clova」を活用した事業戦略を紹介するLINEの出澤剛社長CEO(最高経営責任者)
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 LINEの舛田淳取締役CSMO(チーフストラテジー&マーケティングオフィサー)は今後5年から10年を見据えた経営戦略として、「あらゆるデバイスがつながるプラットフォームを拡大し、パートナーと協力してエコシステムを構築する」と述べた。そのための施策としてLINEは、AIスピーカー「WAVE」といった製品を積極的に市場に普及させていく。そこで得られた成果をパートナー企業に共有することで、事業展開を促進させる。

LINEはあらゆるデバイスをClovaへつなげ、新しいビジネスモデルの創出を目指す
LINEはあらゆるデバイスをClovaへつなげ、新しいビジネスモデルの創出を目指す
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 同社のClovaにビッグデータを収集する仕組みを整え、他企業との協業も積極的に進める。イベントではトヨタ自動車とコネクテッドカーサービスの提供に向けた合意締結を発表。ファミリーマートと伊藤忠商事とは、Clovaのデータ分析を活用した店舗管理システムや新サービスの開発に向けて基本合意書を締結したと発表した。

 グローバルでは、米グーグルや米アップル、米フェイスブックなどがビッグデータ活用で先行する。これらの企業を念頭に舛田氏は、「LINEは日本に特化した技術開発を進めており、日本最大級のビッグデータを持つ。利用者のIDとひもづけてさまざまなデータを学習し、事業を展開できる」と独自の強みを強調した。

 LINEは次の5年を見据えた経営戦略として、LINEをさまざまなサービスに連携させる「Connected」、動画サービスを充実させる「Videolized」、AIサービスを普及させる「AI」の三つの分野に注力する。その中でもAI分野では、Clovaを活用して生活のあらゆる場面にAIサービスを提供する目標を掲げる。