LINEは2017年6月15日に開催した「LINE CONFERENCE 2017」で、人の呼びかけに自動応答する人工知能(AI)スピーカー「WAVE」の試作機を初披露した。クラウドAI機能「Clova」と連携して、メッセージをやり取りしたり、ニュースや天気を確認したりできる。発売は2017年秋の予定で、価格は1万5000円(税別)。さらに機能を限定した先行版を2017年夏ごろに1万円(税別)で発売する予定だ。

 LINEの舛田淳取締役CSMO(チーフストラテジー&マーケティングオフィサー)は、AIスピーカーの戦略的な価格設定について、音声操作デバイスの普及を優先させる狙いを示した。「ビッグデータのビジネスでは、学習データを多く作ることが競争力になる。しかし日本には、生活の中で音声を使って機器を操作する文化がない」とした上で、「まずは様々な製品を出して試行錯誤し、その成果をパートナーに提供してスマートデバイスを普及させる」という。Clovaを連携させたWAVEなどのスマートデバイスで、新たなビジネスモデルを構築する狙いだ。

WAVEを紹介するLINEの舛田淳取締役CSMO(チーフストラテジー&マーケティングオフィサー)
WAVEを紹介するLINEの舛田淳取締役CSMO(チーフストラテジー&マーケティングオフィサー)
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 WAVEは、Clovaの音声認識や自然言語処理、音声合成を利用した様々な機能を提供する。例えば、メッセージアプリ「LINE」のIDを紐づけて、友達からのメッセージを読み上げたり、音声でメッセージを送信したりできる。翻訳機能やカレンダー機能、「LINEニュース」と連携したニュース/天気の確認、EC(電子商取引)利用、To-doリストの作成といった機能も備える。

AIスピーカー「WAVE」の機能例
AIスピーカー「WAVE」の機能例
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 「LINE MUSIC」が提供する4000万曲の楽曲を再生でき、プレイリストやランキングを確認したり、ユーザーの好みやその日の天気に合わせて曲をレコメンドしたりできる。本体には赤外線コントローラを内蔵し、家電製品の操作も可能だ。

 WAVEは高さ20.1センチ、重さ998グラム。四つのマイクを搭載して、スピーカーから約5メートルの距離にいる人の声を認識できる。スピーカーには2.5インチの20Wウーファーを一つと、1インチの5Wのツィーターを二つ採用し、「音質にこだわった仕様」(舛田氏)という。Wi-FiやBluetoothと接続できる。バッテリー駆動のため、家で部屋の間を持ち歩いても利用できる。

 LINEはWAVEの他にも、LINEのキャラクターをモチーフにしたデザインのAIスピーカー「CHAMP」も2017年冬ごろに発売する予定だ。Clovaと連携してWAVEと同様の機能を利用できる。画面を搭載して、画像や動画を表示できるスマートディスプレー「FACE」も現在開発を進めているとした。

 発表会の席で舛田氏はヤマハとの協業も発表し、ヤマハの歌声合成技術「VOCALOID(ボーカロイド)」とLINEのClovaを連携して楽曲創作する構想も紹介した。