ドローンを安全に運航するためのシステムである「無人航空機の運航管理システム」の研究開発に関する説明会を、2017年6月15日に国立研究開発法人の新エネルギー・産業技術総合開発研究機構(NEDO)が開催した。将来的に物流などで活用されることを見据え、安全な運航管理のためのシステム構築を目指す。NEDOを中心に、NEC、NTTデータ、日立製作所、NTTドコモ、楽天、国立研究開発法人の宇宙航空研究開発機構(JAXA)が参加する。

 今回の研究開発の目的は、「安心・安全で効率的に大量の無人航空機の運航を管理するシステムの実現」だ。ドローンが将来的に物流、災害状況把握、警備・防犯などの分野で活用され、さまざまな目的のドローンが同じ区域内で飛行する状況を見据えて、安全な運航管理システムを開発する。

ドローンの実機イメージ機。将来的には都市部で安全にドローンが飛び交う社会が訪れるとする
ドローンの実機イメージ機。将来的には都市部で安全にドローンが飛び交う社会が訪れるとする
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 NEDOの古川一夫理事長は、「人工知能(AI)、IoT(インターネットオブシングズ)、ロボティクス、ビックデータなど新しい技術が次々と出てくる中で、ドローンを活用したビジネスはもっとも有望なうちのひとつだ」と述べる。

 経済産業省 製造産業局の糟谷敏秀局長は、「諸外国で進む研究活動とも連携する。この研究開発での成果を国際標準にすることも視野に入れつつ、スピード感を持って進めていきたい」と強調した。

経済産業省 製造産業局の糟谷敏秀局長
経済産業省 製造産業局の糟谷敏秀局長
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 「無人航空機の運航管理システムの開発」のテーマは2つ。1つめは、「安心・安全で効率的な物流等のサービスを実現する運航管理システムの研究開発」だ。飛行計画や運航情報管理などの具体的なシステムを開発する。5社のコンソーシアムの体制で、研究代表機関はNECで、共同実施機関はNTTデータ、日立製作所、NTTドコモ、楽天だ。

 各社の役割分担として、飛行計画や計画の承認などフライト管理はNEC、地域ごとの建物や障害物等の空域情報管理はNTTデータ、実際にドローンがどこを飛んでいるかなどの運航情報管理は日立製作所。NTTドコモは通信サービス、楽天は配送サービスの実用化を検討する。

 2つめは、「運航管理システムの全体設計に関する研究開発」だ。運航管理システムの基本的なコンセプトの検討などで、JAXAが担当する。情報通信研究機構、産業技術総合研究所、国立情報学研究所、電子航法研究所と連携して実施する。

 いずれも「ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト」の一環である。プロジェクト全体の政府予算は2017年度で33億円で、期間は2017年度から2021年度までの5年間。今回の「無人航空機の運航管理システムの開発」は、2017年度から2019年度の3年間実施する。