りそなホールディングス傘下のりそな銀行と埼玉りそな銀行、近畿大阪銀行が、法人部門の渉外営業担当者約1500人にiPadを配備し、顧客への提案活動を効率化する取り組みを進めている。2017年4月下旬から5月中旬にかけてiPadを順次配布し、6月15日までに本格的な活用を始めた。2018年3月までに行動分析などの機能を追加することを検討している。

りそなグループが法人部門の渉外営業担当者向けに導入したiPadの「鳥瞰(ちょうかん)図」画面
りそなグループが法人部門の渉外営業担当者向けに導入したiPadの「鳥瞰(ちょうかん)図」画面
(出所:りそな銀行)
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 顧客訪問時に紙の提案書の代わりにiPadに表示した提案書を見せながら、効果的に説明できるようにする狙いがある。コンテンツ管理ツールにはインタラクティブソリューションズ(東京・千代田)の「Interactive-Pro」を採用した。

 りそな銀行コーポレートビジネス部営業力強化グループの大滝貴光担当マネージャーは「紙の代わりにiPadを使うことで、訪問の回数を増やしつつ面談の質を向上させたい」と狙いを説明する。

りそな銀行コーポレートビジネス部営業力強化グループの大滝貴光担当マネージャー
りそな銀行コーポレートビジネス部営業力強化グループの大滝貴光担当マネージャー
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 りそなの渉外営業担当者は担当企業の経営者や経理担当者を巡回訪問する。「定期的な資金需要に応じた融資相談を受ける」といった明確な訪問目的がある場合もあるが、何気ない会話から商品ニーズを探って提案につなげるケースも多い。

 iPadに約300種類、3000ページもの提案書を収録し、常時持ち歩けるようにした。多種多様な提案書を分類して「鳥瞰(ちょうかん)図」と呼ぶメニュー画面を作成。「資金調達」「業務効率化」「不動産」などの分野ごとに関連する提案書を引き出しやすくする工夫をした。

 融資提案のような利用頻度が高い提案書だけではなく、「事業承継」「M&A(合併・買収)」のような提案書も網羅している。訪問時にこうした分野の話題が出た場合に、持ち帰ることなくその場で提案できるようにする。

 2018年3月までに担当者別の閲覧履歴を記録・分析する機能を実装する計画だ。iPadでよく使われている提案書を本社側で把握して営業計画立案に役立てたり、営業成績上位者の提案書の使い方を把握して全体に知らせたりすることで、さらなる営業力強化を図る方針だ。