インフォアジャパンは2017年6月15日、組立製造業に特化したSaaS型のクラウドERP(統合基幹業務システム)ソフト「Infor CloudSuite Industrial Machinery」を日本市場で提供開始した。他の業界特化型クラウドERPと同様、AWS(Amazon Web Services)上でサブスクリプション型で提供する。価格(税別)は月額約150万円から。

Infor CloudSuite Industrial Machineryの概要
Infor CloudSuite Industrial Machineryの概要
(出所:インフォアジャパン)
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 大規模な組立製造業が必要とする機能を一通りそろえる。例えば、産業用機械や大型設備機器の分野で必要な、個別受注に基づくプロジェクト型の生産管理やコスト管理が可能。この上で、グローバル企業に必須となるマルチサイト機能、財務・管理会計、サプライチェーン管理、生産管理、プロジェクト管理、製品設計、品質管理などの機能を標準で備えている。

 インフォアジャパンでは、Infor CloudSuite Industrial Machineryについて、日本を拠点にグローバルビジネスを展開する企業への新規導入と、同じく大規模組立製造業に強みを持つオンプレミスのERPパッケージ「Infor LN」(旧称はBaan)からのクラウド移行を推し進める。

 同社のERPの最大の特徴は、業界特化型であることである。特定の業界向けに専門化することによって、特定業界に必要な細かい機能を広く深くカバーする。「カスタマイズすることなく、部品を組み合わせるだけで使える」(インフォアジャパン代表取締役社長の新造宗三郎氏)ことを狙っている。

インフォアジャパン代表取締役社長の新造宗三郎氏
インフォアジャパン代表取締役社長の新造宗三郎氏
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インフォアジャパンでエンタープライズクラウドソリュージョンアーキテクトを務める河西学氏
インフォアジャパンでエンタープライズクラウドソリュージョンアーキテクトを務める河西学氏
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 オンプレミスERPとクラウドERPを同一のソフトウエアで両方提供している点も特徴。一般に、ERPをクラウドに移行する主な動機は、コスト削減、セキュリティ確保、BCP(事業継続計画)の三つである。インフォアジャパンでは、これに加えて、グローバル化、使いやすいインタフェースによる新たなユーザー体験、データの集計や分析におけるリアルタイム性の確保、の三つを挙げる。

企業がERPをクラウドに移行する動機
企業がERPをクラウドに移行する動機
(出所:インフォアジャパン)
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 「ERPをクラウドに移行する本当の動機はグローバル化。各国ごとにERPがサイロ化してしまっている状況から脱却することが目的」と、インフォアジャパンでエンタープライズクラウドソリュージョンアーキテクトを務める河西学氏は、グローバル化がクラウドERPの推進力になっていることを指摘する。

 新しいユーザーインタフェースの需要も大きいと河西氏は言う。「多くのERPユーザーは、キャラクター画面やExcel画面でデータを参照し、メールでワークフローを回している。使いやすいポータル画面の需要が大きい」(河西氏)。

使いやすいユーザーインタフェースの需要が大きい
使いやすいユーザーインタフェースの需要が大きい
(出所:インフォアジャパン)
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 日本市場でのインフォアジャパンのERP製品は、オンプレミスERPが90%を占めており、現状ではクラウドERPは10%と少数派である。「3年後にクラウドERPを25%に持っていきたい」(新造社長)としている。