米Facebookは現地時間2017年6月14日、同社の人工知能(AI)研究(FAIR:Facebook Artificial Intelligence Research)チームが交渉能力を持つ対話型AIボットを開発したと発表した。「ダイアログエージェント」と呼ぶ同ボット技術のソースコード論文を公開している。

 FAIRは、「どのテレビ番組を見るか決めたり、子どもに苦手な野菜を食べさせたり、より安い値段で買い物をしたりなど、我々の日常は交渉の連続だ。これらは複雑なコミュニケーションと判断のスキルが必要になる。しかし既存のチャットボットが対応できるのは、レストランの予約といった単純なタスクをこなす短い会話までだ」と述べている。

 FAIRが開発したダイアログエージェントは、異なる目的を持つ人間どうしが話し合い、妥協点を見出すのと同様に、別のボットあるいは人間と交渉して共通の決断を導き出す。

 FAIRでは、2つのボットに複数のアイテムのグループ(例えば本2冊、帽子1つ、ボール3つ)を示し、それを両者で分けるといった交渉を学習させた。まず実際の人間どうしが交渉するケースを集め、それをもとにボットを繰り返しトレーニングした。交渉の際の人間らしい言い方についても学習と調整を重ねた。

 評価テストのために、ダイアログエージェントにオンラインで人間と交渉(会話言語は英語)させたところ、ほとんどのテスト対象者は相手がボットだということに気づかなかったという。

 FacebookはFAIRの研究をコミュニティーと共有することで、推論し、会話し、交渉できるAIボットの開発における課題の解決と、才能ある人々の取り組みを促進したいとしている。

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