米Appleが自動運転車の技術を開発していることは、かねて伝えられていたが、同社のTim Cook最高経営責任者(CEO)はこのほど、初めて自動車市場に向けた同社の取り組みについて語った。

 これは同氏が2017年6月5日にBloomberg Televisionに出演し、言明したもの。Bloombergの6月13日付の記事によると、Cook CEOは「我々は自律走行システムに注力している」と述べた。また、そうした同社の自動運転技術への取り組みついて、「究極の人工知能(AI)プロジェクト」と表現し、「おそらく我々が取り組むAIプロジェクトの中で最も難しいものの1つ」とも述べた。

 Appleの自動運転車開発計画については2017年4月、同社が米カリフォルニア州で走行試験に関する許可を得たと伝えられた。認可を受けた車両はソフトウエアやハードウエアを組み込んで改造した3台のSUVで、車種はいずれも「Lexus RX 450h」。これには6人のオペレーターが乗車し、走行状況を監視しながら、緊急時には自動運転に代えて人間が運転する。

 Appleは2014年に「Titan」と呼ばれる自動車開発プロジェクトを立ち上げたとされている。すべては秘密裏に進めているとされる同社だが、2016年11月には、米運輸省が公開した自動運転車に関する連邦政府指針に対し、書簡を送り意見を表明した。この中で同社は、マシンラーニング(機械学習)とオートメーションの技術に多額の投資を行っていることを明かすと同時に、「輸送機関を含む多くの分野における自動運転システムの可能性に心躍らされている」などと述べた。

 ただ、AppleのTitanプロジェクトは、まざまな問題に直面しており、計画は岐路に立たされているとも言われている。報道によると、Appleの幹部はTitanチームに対し、2017年末ごろという期限を設け、自動運転システムの基幹部門を成すソフトウエアの実現可能性を検証するよう指示した。そのうえで幹部は、同社が当初の計画どおり自動運転車を自社開発するのか、あるいはこれに必要なソフトウエアのみを開発し、自動車メーカー各社に提供する事業を進めるのか、いずれかを決定するよう求めた。

 今回のBloomberg TelevisionとのインタビューでCook CEOは、Appleが自動車そのものを開発する計画があるのかと聞かれ、「我々がどこへ到達するかは、そのうち分かるだろう。我々が何をするのかということについて、製品の観点から話すことはしない」と答えた。