米Verizon Communicationsは現地時間2017年6月13日、米Yahoo!のインターネット事業買収の手続きを完了したと発表した。獲得したYahoo!の資産を傘下の米AOLと統合し、新会社「Oath」を設立する。
OathはVerizonのメディアおよびテレマティクス部門の管轄となり、「HuffPost」「Yahoo! Sports」「Yahoo! Finance」「Yahoo Mail」「AOL.com」「MAKERS」「Tumblr」「TechCrunch」をはじめとする50以上のメディアおよび技術ブランドを運営する。これらブランドのユーザーは世界で10億人以上にのぼるという。
Oathの最高経営責任者(CEO)には、AOLのCEOを務めたTim Armstrong氏が就任する。AOLの「ONE by AOL」やYahoo!の「BrightRoll」といった広告ソリューションもOathに含まれる。Yahoo!のMarissa Mayer CEOは手続き完了にともない辞任する。
Verizonのメディアおよびテレマティクス部門担当プレジデントのMarni Walden氏は「手続き完了はグローバルなデジタルメディア企業として成長するための重要なステップだ。VerizonおよびOathが抱える資産は仮想現実(VR)から人工知能(AI)、第5世代(5G)通信、インターネット・オブ・シングズ(IoT)、さらにパートナーのコンテンツやオリジナルコンテンツと幅広く、新たな手法で世界中の視聴者を魅了していく」と述べた。
VerizonはAOLとYahoo!を統合することによって、オンライン広告で米Googleや米Facebookに対抗する勢力を創り上げようとしていると、英Financial Timesは報じている。GoogleやFacebookは今や、デジタル広告市場の3分の2近くを支配している。
Verizonは約44億ドルでAOLを買収した翌年の2016年7月に、Yahoo!中核事業を約48億3000万ドルで買収することでYahoo!と合意した。しかしYahoo!から合計15億人分以上の個人情報が過去に流出していたことが判明。条件見直しで交渉が進められた結果、2017年2月に当初より3億5000万ドル安い約44億8000万ドルで両社は再合意した。
Yahoo!は2017年6月8日に開催した臨時株主総会で、株主から中核事業売却の承認を獲得。その際、6月13日に手続きを完了する見通しであることを明らかにしていた。この臨時株主総会に先立ち、統合後の従業員の約15%に相当する最大2100人が削減される見込みだと複数の米メディアが伝えた。
Verizonは人員削減計画について言及していないが、米Wall Street JournalはArmstrong氏がこれを認めたと報じている。主に影響を受けるのは職務の重複がある人事や一般管理などバックオフィス部門だという。
なお、中核事業売却後のYahoo!は社名を「Altaba」に変更し、中国Alibaba Group Holding(阿里巴巴集団控股)の株式15%と日本のヤフー(Yahoo! Japan)の株式35.5%を保有する投資会社となる。
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