NTTドコモは2017年6月13日、災害時などで通信がつながりにくい状況において、重要通信の確保が必要な公共機関が共同で利用可能とする「公共安全LTEシステム」を開発し、実証実験に成功したと発表した。LTE技術を応用したもので、相互の映像伝送や高速データ通信による情報把握、情報共有が可能とする。

図1●公共安全LTEシステムの想定利用シーン
図1●公共安全LTEシステムの想定利用シーン
(出所:NTTドコモ、以下同)
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 ドコモが新たに開発したVHF帯TD-LTE技術を使った無線通信システムを宮城県に構築し、岩手県、宮城県、福島県のエリアで実験局免許を取得して実証実験を実施した。

表●無線システムの諸元
表●無線システムの諸元
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 実証実験は2種類。一つはエリア品質・通信速度の実証実験である。電測車に実験端末と測定器を搭載して走行調査を2017年1月から3月にかけて実施した。実験基地局から半径最大50kmのエリアカバー、受信時最大50Mbps、送信時最大13Mbpsの通信速度を確認した。

 想定利用シーンの一つである上空からの映像伝送の実証実験を仙台市で実施した。2016年8月29日に締結した仙台市とドコモの連携協定で推進する「防災・減災」「近未来技術の実証」の取り組みの一環として、2017年6月6日に実施した。仙台市の消防ヘリコプターに同システムの実験端末を搭載し、ヘリコプターカメラからの映像伝送と救助隊員役に装着したウエアラブルカメラの現場映像を実験端末を経由して地上の複数拠点へリアルタイム伝送した。

図2●仙台市における実証実験のイメージ
図2●仙台市における実証実験のイメージ
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