米Facebookは、パブリッシャーの記事コンテンツをニュースフィードに配信する「Instant Articles(インスタント記事)」について、利用者に課金する有料サブスクリプションサービスを検討していると、米Wall Street Journalが現地時間2017年6月12日に報じた。

 同社は現在パブリッシャーと協議中で、このサービスがどのような形になるのか具体的なことは決まっていない。だがFacebookは、ユーザーがモバイルアプリ上で一定のコンテンツを無料で利用し、それ以上利用したいユーザーには有料にするというメーター制課金の仕組みを検討している。

 またFacebookとパブリッシャーの間では、どのように収益を分配するのかも話し合われている。現在のところ、Facebookが決済情報を管理するものの、収益はすべてパブリッシャーが得るモデルが検討されていると事情に詳しい関係者は話している。

 こうしたニュースコンテンツの課金システムについては、FacebookがInstant Articlesを2015年5月に立ち上げる前からパブリッシャーから要望が出ていた。そのころFacebookは、ユーザーがFacebookアプリからパブリッシャーのWebサイトに行き、そこで有料サービスを受けるという方法を検討していた。しかしこの方法は、モバイルアプリ上で、コンテンツの表示を迅速にするというInstant Articlesの目的に合っておらず、同社はこの案を見送った。

 一方でInstant Articlesでは、表示する広告の数をFacebookが制限しており、パブリッシャーは自社サイトのように利益を出せない。こうしたことからパブリッシャーは、米Appleや米Googleなどの競合サービスに記事を配信するといった道を模索している。

 Wall Street Journalによると、パブリッシャーの不満や競合サービスの存在が、Facebookにサービス内容を再検討させるきっかけとなった。これにより、FacebookはInstant Articlesの広告に関する制限を一部緩和した。また同社の幹部は、有料サブスクリプションサービスの導入を真剣に考えるようになったと、同紙は伝えている。