ジェムアルトは2017年6月12日、ハードウエアやソフトウエアの収益化についての説明会を開催した。オランダのジェムアルト プロフェッショナルサービス ソフトウエアマネタイゼーション事業本部のジャム・カーン ヴァイスプレジデントは、ハードウエア会社も単に製品を販売するだけのモデルから、ソフトウエア会社のような考え方でビジネスモデルを変革する重要性を訴えた。
カーン氏は、ハードウエアがインテリジェント化されている現状を説明。「デバイスが、どのように使われているかのデータを、リアルタイムに収集できるようになっている」(カーン氏)と話す。
さらに、ハードウエアメーカーはその多くがハードを開発して販売するというビジネスモデルを踏襲してきたが、IoT時代にはデバイスがネットワークにつながるところから価値を引き出すことが可能になると説明する。単にハードの売り切りではなく、ハードウエアの利用に応じた課金、ハードウエアから収集したデータによる収益、オンラインでアップグレードを提供する仕組みの販売など、新たなビジネスモデルを検討可能になるという。
カーン氏は、通信会社のエリクソンが、MNO(移動体通信事業者)による基地局の利用の費用徴収を、自ら実施していたことを例にあげた。以前はMNOからの申告に基づいて徴収していたが、実際の利用データを基に収集するようになって「より透明性が高く、お互いが納得できるフェアなビジネスモデルに変更できた」という。
また、米シスコの取り組みにも言及。同社はデバイスを販売しており、顧客が購入した機器の機能強化やキャパシティを上げるためにはフィールドエンジニアがデバイスを設置した現場で作業する必要があった、と指摘する。ところが、ソフトウエアのライセンシングモデルを導入し、オンラインアップグレードが可能になったという。
テクノロジーだけでなくコンサルティングで支援
また、カーン氏はデジタル変革を行うためには価格やパッケージングの「柔軟性」、通知やアクティベーション等の「バックオフィスの統合」、戦略・意思決定のための「データ収集と利用把握」、そして個人向けだけではなく法人向けにもより高い「顧客体験」の実現の4つが重要になると説明した。
さらに「ソフトウエア企業で必要なのは戦略」であり、全体像を把握したうえで効率的なパッケージ化を行うところに価値があると見解を述べた。続けて「ジェムアルトは価格設定やパッケージングに関してコンサルティングも行っており、ジェムアルトのライセンシングテクノロジーを使う事で新しいビジネスモデルの進める支援をしている」と強調した。
ジェムアルトが提供しているソフトウエアライセンシングプラットフォームは売り切りやサブスクリプションだけでなく、多くのライセンシングモデルに対応しているところが強みになると説明した。
また、使用する機器が高価な医療分野に課金モデルを導入することや、自動車関連の製造装置や検査装置にも着目している、という。